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大江戸奇術考 手妻・からくり・見立ての世界

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大江戸奇術考 手妻・からくり・見立ての世界大江戸奇術考 手妻・からくり・見立ての世界
(おおえどきじゅつこう)
泡坂妻夫
(あわさかつまお)
[江戸入門]

奇術家としても知られる泡坂さんによる、江戸のマジック事情。図版を多数使用していて、わかりやすくひきこまれる。

『宝引の辰捕者帳』などで、江戸の奇術を垣間見せてくれる、泡坂さんらしいユニークな江戸風俗文化入門書。奇術家としても活躍され、石田天海賞を受賞された筆者らしく、演者らしい視点と細かさ、こだわり、臨場感がなんとも言えずいい。

鎖国下の江戸で、海外と同じように、コインやロープなどの奇術が発達していったことが面白い。また、日本人の大好きな“見立て”について「南京玉すだれ」を引き合いに出して解説している。先日、たまたま、深川で見た、「南京玉すだれ」を思い出した。

読みどころ●陰陽道や放下・幻術をルーツに、手妻として花開いた江戸奇術のからくり世界を、推理、奇術に精通した時代小説の名手が解き明かした江戸を愉しむ一冊。コインや紐を使った座敷手品、水芸、お椀と玉の手練奇術などのやり方やたねを当時の奇術書を引用して紹介しています。からくり細工や時計、歌舞伎の大道具などにも言及。

目次■はじめに|第一章 奇術前史(卑弥呼のマジック/修験道の法術/陰陽道の方術/安倍晴明のマジック)|第二章 放下と幻術(散楽雑伎の渡来/田楽法師と放下僧/果心居士の幻術/種瓜植樹/馬腹術/塩屋長次郎の馬呑術/消えていった幻術)|第三章 はじめての奇術書『神仙戯術』(中国渡来の翻訳書/『神仙戯術』にある奇術)|第四章 趣味人の座敷手品(初期の奇術書/カード奇術の文献/江戸の科学手品/当てもの(メンタルマジック)/トランプの渡来/コイン奇術とロープ奇術/可愛いトリック)|第五章 プロの舞台奇術(プロの技を取り上げた奇術書/江戸の脱出奇術(エスケープマジック)/水芸のはじめ/曲独楽の秘密)|第六章 江戸の手練奇術(スライスハンドマジック)(手練技を書き記した本/小豆割り/お椀と玉/リングの奇術/面白い原理のコイン奇術/「ヒョコ」という奇術)|第七章 からくりと時計(竹田からくり/からくりの書/からくりの数数/水銀や砂の動力と時計仕掛け)|第八章 江戸の怪奇趣味(化物製造法/幻灯機の術/手が込んでいった怪奇趣味)|第九章 歌舞伎のからくり(歌舞伎のケレン/人形浄瑠璃の影響/からくりの種明かし本/大道具のスペクタクル/世界一速い早変わり/小道具のトリック/歌舞伎の新しいからくり)|第一〇章 奇術と料理(珍本「料理こんだて手品伝授」/手品と料理の関係/驚異の黄身返し/再度の挑戦/現代の黄身返し)|第一一章 伝承の奇術(南京玉すだれ/玉すだれの起源は不明/南京玉すだれの構造/滝の白糸/太夫の芸の流れ/和妻は身体の動きが大切/手妻と見立て/手妻の衰退)|第一二章 世界との交流時代へ(外国人が驚嘆した胡蝶の舞/いざパリ万博へ/寄席から大舞台へ)|あとがき―緒方奇術文庫について

装幀:菊地信義
(平凡社新書・680円・01/04/18第1刷・218P)
購入日:01/04/28
読破日:01/05/11

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