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長宗我部信親――敵も味方も魅了し、戦国を駆け抜けた若者

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『友よ』|赤神諒|PHP研究所

友よ赤神諒(あかがみりょう)さんの歴史時小説、『友よ』(PHP研究所)をご恵贈いただきました。

戦国時代を舞台にした、歴史小説を数多く手がけて人気の著者。その中でも豊後大友家を舞台にした一連の作品群は、著者のライフワークであり、「大友サーガ」と呼ばれています。
(サーガとは、一家一門の歴史を系図のように描いた一連の小説のこと。)

四国を統一しつつあった長宗我部元親。その嫡男・信親は、武勇の誉れ高く、人望も厚く、将来を嘱望されていたが、22歳の時に若くして、島津家を相手にした戸次川の戦いで命を落とす。彼はなぜ、“必敗必死”の戦場にとどまり、その地で死ななければならなかったのか。
家臣や領民、そして戦った敵までをも魅了し、「友」として取り込んでいく熱い生きざまを、堂々たる筆致で描く、心を震わす青春歴史群像小説。

(『友よ』カバー裏の説明文より)

本書は、土佐の戦国大名長宗我部元親の嫡男、長曾我部信親の清冽なる生涯を描いた歴史小説です。
信親は、島津家を相手にした、豊後の戸次川の戦いで戦死しました。

(前略)新納には、どうしても腑に落ちぬことがあった。
 寡兵とはいえ、あれほどの采配を振れる戦上手が配下の精鋭と共にあったのなら、死のみが待つ戸次川の戦場から離脱できたはずだ。
(どうにも、わからぬ)
 なぜあの七百もの土佐将兵たちは最後の一兵まで、若者と運命を共にしたのだ?
 
(『友よ』P.12より)

島津軍の宿将・新納武蔵守忠元は、信親に率いられた土佐将兵の戦いぶりに震撼させられ、思わず吐露しました。

父・元親から将来を嘱望された信親は、“必敗必死”の戸次川で、なぜ戦場にとどまったのでしょうか?

土佐を中心に、戦場となる阿波、讃岐、そして豊後が舞台となり、「大友サーガ」の第7弾となる作品です。

「友情」をテーマに、家臣や領民、そして敵までをも魅了する若者の戦いと生き様を描く戦国青春群像小説を堪能したいと思います。

友よ

赤神諒
文芸社 PHP研究所
2022年12月21日第1版第1刷発行

装丁:芦澤泰偉
装画:ヤマモトマサアキ

●目次
序 戸次川の落日
第一部 石清川
 第一章 土佐の御曹司
 第二章 藤目城の守将
 第三章 岡豊の春
 第四章 川と麦
 第五章 波川に咲く花

第二部 中富川
 第六章 土佐で好きなもの
 第七章 中富川哀傷歌
 第八章 石ぐろと火振り
 第九章 誰のために

第三部 戸次川
 第十章 羇旅
 第十一章 人を動かすものは
 第十二章 円陣

本文418ページ

「WEB文蔵」2021年5月~2022年4月連載に加筆・修正したもの

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『友よ』(赤神諒・PHP研究所)

赤神諒|時代小説ガイド
赤神諒|あかがみりょう(赤神諒)|時代小説・作家 1972年京都市生まれ。同志社大学文学部卒。 法学博士、上智大学法科大学院教授。弁護士。 2017年、「丹生島城の聖将」(単行本時のタイトル『大友の聖将(ヘラクレス)』)で第12回小説現代長...