新陰流の真髄を見せろ!竜之助の前に三人の凄腕の刺客が

『若さま同心徳川竜之助(二) 風鳴の剣』|風野真知雄|双葉文庫

若さま同心徳川竜之助(二) 風鳴の剣風野真知雄さんの痛快捕物小説、『若さま同心徳川竜之助(二) 風鳴の剣』(双葉文庫)をご恵贈いただきました。

御三卿の一つ、田安徳川家の十一男の徳川竜之助が南町奉行所の見習い同心となって、市井に起きた事件を解決する、捕物小説シリーズの第2弾。
2008年に刊行された同名タイトルの新装版となります。

かねてから憧れていた同心見習いとなり、慌ただしくも充実した日々を送る御三卿・田安徳川家の十一男、徳川竜之助。湯屋での謎めいた人殺しや、くぐつ師による薬種問屋の倅のかどわかしなど、江戸の町で起こる様々な事件を持ち前の知恵と度胸で解き明かしていく竜之助だが、その身に肥後新陰流を操る刺客たちの影が迫っていた。剣戟あり、人情あり、ユーモアもたっぷりの傑作時代小説シリーズ新装版、第二弾。
(カバー裏の内容紹介より)

徳川竜之助は、母親の身分があまりにも低かったために、田安家において、いるようないないような、いつ塗りつぶされてもおかしくない誤字のような存在でした。
わが身を持て余した竜之助を救ったのが、剣の修練と同心の暮らしへの憧れでした。
ふた月ほど前に、その夢がかない福川竜之助の名で、町奉行所の同心になることができました。

竜之助は、その日も朝っぱらから熱い湯につかるという、市井での生活を満喫し、湯から上がって外に出ると、近所の別の湯屋で殺しがあったとの知らせを受けました。

南茅場町の湯屋に行くと、七十を超えた爺さんが裸で湯船の中で心ノ臓を一突きされて殺されていました。

身寄りがなくその生活ぶりもよくわからないという爺さんで、下手人を見た者は見つからず、謎の多い事件は竜之助が担当することになりました。

「徳川竜之助を斬れ」
 中屋敷の奥の間に入った小佐野は、座るとすぐに言った。
「その剣こそ新陰流の真髄であり、正統であるという声も囁かれているのだ。だが、新陰流の真髄であり、正統であるのは、われらが肥後新陰流。その信念が正しいものであることを証明するため、徳川竜之助を斬ってもらう」

(『若さま同心徳川竜之助(二) 風鳴の剣』「序章 お人よしの刺客」P.16より)

剣聖上泉伊勢守が完成させた新陰流は、弟子の疋田景兼により、肥後熊本の細川家に伝わり、肥後新陰流となりました。

肥後藩士小佐野金蔵から指示を受けた、熊、桂馬、うどんと綽名された三人の刺客は、竜之助の命を狙います。

肥後新陰流の遣い手に対して、竜之助は葵新陰流の剣で立ち向かいます。
難事件を解く捕物の冴えに加えて、剣戟シーンが堪能できる、楽しみが多い第二弾です。

若さま同心徳川竜之助(二) 風鳴の剣〈新装版〉

風野真知雄
双葉社 双葉文庫
2021年1月17日第1刷発行

カバーデザイン:泉沢光雄
カバーイラストレーション:スカイエマ

●目次
序章 お人よしの刺客
第一章 湯屋の恋人
第二章 夕暮れくぐつ師
第三章 毒入り芝居
第四章 恵比寿のはらわた

本文288ページ

『若さま同心徳川竜之助(二) 風鳴の剣』(双葉文庫・2008年2月刊行)の新装版

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『若さま同心徳川竜之助(一) 消えた十手』(風野真知雄・双葉文庫)
『若さま同心徳川竜之助(二) 風鳴の剣』(風野真知雄・双葉文庫)

風野真知雄|時代小説ガイド
風野真知雄|かぜのまちお|時代小説・作家 1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒業。 1992年に、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞しデビュー。 2015年に、「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を...