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日暮し同心始末帖 はぐれ烏

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日暮し同心始末帖 はぐれ烏日暮し同心始末帖 はぐれ烏
(ひぐらしどうしんしまつちょう はぐれがらす)
辻堂魁
(つじどうかい)
[捕物]
★★★★

『風の市兵衛』で、時代小説ファンの注目を集めている辻堂魁さんの「日暮れ同心始末帖」シリーズの第1作目。貧乏旗本の三男で、小野派一刀流の手練である龍平を主人公にした、痛快捕物小説。

表題作の「はぐれ烏」のほか、誘拐された訴えがあった老舗菓子問屋の娘を連れ戻す雑用を命じられた龍平の活躍を描く「日本橋」、北町奉行所に悪い人に連れて行かれた母を捜してくれと幼い娘・お千代が願い出る「唐櫃」の全3話を収録。

「部屋住みでくすぶっているよりは、ましでしょう」と、周囲の反対を押し切って格上の旗本家から町方同心の家に婿入りした龍平。己の妻となる日暮家の一人娘の麻奈の年が自分と同い年という以外、容貌も気立ても縁談が持ち上がった経緯も知らないままにだ。

格上の旗本の血筋ということで、奉行所内では、与力や同心たちから、嫌がらせにみんなが嫌がる雑用のほか、宿直を押し付けられる。町方役人に就いて庶民の生き生きとした暮らしぶりに触れて、仕事に充実を感じる。どんな雑用にもやりがいを覚える。八年経って、雑用をやらせたら、日暮にかなう者はないと、揶揄を込めて、《その日暮らしの龍平というあだ名をつけられる。

最初の「日本橋」と「唐櫃」の二話では、そんな龍平の雑用をそつなくこなす姿が描かれる。そして、「はぐれ烏」では初めて大きな事件の探索を任せられることに…。

辻堂さんのデビュー作は、『夜叉萬同心 冬蜉蝣』(ベスト文庫)だが、本書には、その主人公である北町奉行所隠密廻り方同心・萬七蔵も登場し、辻堂ファンにはうれしいところ。

主な登場人物◆
日暮龍平:北町奉行所平同心
麻奈:龍平の妻
俊太郎:龍平の息子
日暮達広:麻奈の父で、龍平の舅
鈴与:龍平の姑
松助:日暮家の下男
沢木七郎兵衛:公儀番方小十人組旗本で龍平の実父
桐:龍平の実母
宮三:口入れ稼業《梅宮》の主人
寛一:宮三の息子
吉弥:京風小料理屋《桔梗》の主人
お諏訪:吉弥の娘
永田備前守:北町奉行
福澤兼弘:北町奉行所筆頭与力
柚木常朝:北町奉行所詮議役筆頭与力
川島英十郎:北町奉行所当番方与力
松尾要:北町奉行所当番方与力
花沢虎ノ助:北町奉行所市中取締掛与力
富永真兵衛:北町奉行所町定町廻り同心
梨田冠右衛門:北町奉行所年寄同心
岐部高雄:北町奉行所年寄同心
萬七蔵:北町奉行所隠密廻り方同心
鹿取屋忠治郎:堀留町二丁目の老舗菓子問屋
萌:忠治郎の娘
川太郎:芝湊町の船宿・万年家雇い船頭
堺屋庄之助:堀留町の町名主
お陸:芸者
青とかげの甚十郎:松坂町の悪
剛蔵:大工
お宮:剛蔵の女房
お千代:お宮の娘
郷助:お宮の叔父で、膝折村の農家
安兵衛:お宮の暮らす長屋の家主
砂吉:木戸番
久右衛門:米沢町三丁目の長屋の家主
孝太:大伝馬町の町飛脚・天満屋の飛脚
お栄:女髪結い
喜一:お栄の亭主で、元大経師の職人
与五郎:お栄が暮らす長屋の家主
夕助:与五郎の遠い親戚
甲吉:夕助の弟分
海蛇の摩吉:盗賊の頭
熊野の権兵衛:元高野山所化で摩吉の右腕
蟋蟀のお仙:権兵衛の女房

物語●公儀番方小十人組旗本・沢木七郎兵衛の三男として生まれた龍平は、七年前の二十三歳の春に、町方同心の日暮家へ婿入りし、平同心として義父の達広の跡を継いだ。出自が旗本ゆえに、与力や役付同心らから、嫌がらせに面倒な仕事や雑用を押し付けられていた。
雑務とはいえ、仕事ぶりは丁寧でそつなくこなす姿を見込んだ北町奉行の永田備前守は、龍平に、大坂から江戸に下ってきた盗賊一味の探索を命じる…。

目次■序 親のしつけ/第一話 日本橋/第二話 唐櫃/第三話 はぐれ烏/結 新生

カバーイラスト:皆川幸輝
カバーデザイン:妹尾浩也
時代:文化十三年九月
場所:北町奉行所、芝湊町、水道橋三崎稲荷稲荷小路、堀留町二丁目、神田大工町、佃島、左内町、和国橋河岸場、谷中八軒町、川越街道膝折宿、妙見弁才天寿命院、米沢町三丁目、水戸家中屋敷裏手、根津門前町、七軒町、ほか
(学研パブリッシング・学研M文庫・629円・2010/01/26第1刷・2011/03/29第3刷・292P)
購入日:2011/11/28
読破日:2011/12/03

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『日暮し同心始末帖 はぐれ烏』(辻堂魁・学研M文庫)