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七福盗奇伝

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七福盗奇伝
七福盗奇伝
(しちふくとうきでん)
澤田ふじ子
(さわだふじこ)
[室町]
★★★☆

ヒロインの千手姫は、後醍醐天皇の皇胤で、念阿弥慈恩の流れをくむ山伏から奥山念流の刀術を授けられた、正義感が強い、勝気な気性をした十八歳の娘。その反面、人を慈しむ心をもち、生得の美しさの目立つ女性という、時代小説のヒロインにはぴったりの設定。

千手姫は、世の不正を目にするにつけ、南朝の末裔としての自覚からか、腹黒い商人や汚職をする役人たちに天誅を下していく。その過程で、使用されるのが、七福神のお面である。

一話一話連作形式で、物語は展開する。澤田作品の特徴である、京の町の事物への記述も随所にあり、楽しめる。とくに病人や窮者、孤児の救済施設である悲田院の紹介や、施粥の様子など興味深い。

物語●応仁・文明の大乱が終息した翌年、南朝の小倉宮を曽祖父にもつ千手姫は、愛宕山西麓水尾村から土御門万里小路の屋敷に移ってきた。屋敷には南朝遺臣の武士和田黒兵衛、御意見番のような侍臣佐田斎、下女のあこやが同行してきた。京での生活を始めたのは、千手姫にふさわしい婚姻の相手を見つけることであったが…。

目次■鬼あざみ/花扇/軒端の月/銭の花/粥童子/あとの桜/黒塚/解説 藤田昌司

装画:小澤重行
装幀:原田幸生
解説:藤田昌司
時代:文明十年四月
場所:土御門万里小路、紫野の悲田院、五条東洞院、四条坊門富小路ほか
(廣済堂文庫・571円・99/08/01第1刷・336P)
購入日:99/07/23
読破日:99/09/21

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