酔いどれ小籐次留書 新春歌会


新春歌会_酔いどれ小籐次留書 (幻冬舎文庫)
酔いどれ小籐次留書 新春歌会
(よいどれことうじとめがき しんしゅんうたかい)
佐伯泰英
(さえきやすひで)
[痛快]
★★★☆☆☆

仕事や生活に疲れてくると、佐伯さんの時代小説を読んで、スカッとしたくなる。

「酔いどれ小籐次留書」シリーズ第15弾。幕府の役人が絡む、貨幣偽造に関連した事件に、小籐次が巻き込まれる。幕府を揺るがしかねない大事件で、久々に老中青山下野守の密偵・おしんも登場する。初期の頃の、大きなスケール感が戻った感じがする。

その一方で、小籐次の最大の関心事は、想い人・北村おりょうの主宰する芽柳一派旗揚げ新春歌会の準備であり、無事成功させることに心血を注いでいた。五十過ぎで小男、もくず蟹のような風貌の小籐次と、美貌の歌人おりょうの組み合わせが、どうしてもうまくイメージできないが、中年男のファンタジーということで温かい目を向けたい。

作品中で江戸に関して、一部に不確かな記述が少し気になったが、一気に読めて、憂さが晴れる痛快な時代小説は健在である。

主な登場人物◆
赤目小籐次:元豊後森藩士。浪人後は研ぎ師を生業とする
駿太郎:小籐次が育てている幼子
観右衛門:紙問屋久慈屋の大番頭
梅吉:久慈屋の小僧
喜多造:久慈屋の荷運び人
新兵衛:小籐次の住む長屋の元差配
お麻:新兵衛の娘で差配を務める
桂三郎:お麻の亭主
お夕:お麻の娘
勝五郎:小籐次の隣人で版木職人
北村おりょう:須崎村の望外川荘に暮らす歌人
あい:おりょうに仕える女中
おしげ:おりょうに仕える女中
百助:おりょうに仕える下男
北村舜藍:幕府の御歌学者で、おりょうの父
秀次:難波橋の御用聞き
多吉:亀島町の御用聞き
空蔵:読売の版元
三河蔦屋染左衛門:深川の町年寄
冬三郎:三河蔦屋の主船頭
美造:竹藪蕎麦の親方
おはる:美造の女房
うづ:平井村の野菜売りの娘
太郎吉:うづの恋人
縞太郎:美造のせがれ
おきょう:縞太郎の女房
梅五郎:金龍山浅草寺御用達の畳屋備前屋の隠居
神太郎:梅五郎のせがれ
斎藤棟秀:新川銀町の外科医
馬道の五郎蔵:寺社役同心配下の御用聞き
岩佐泰之進:寺社役同心
九条保次郎:寺社奉行の密偵
岡田銀蔵:寺社吟味物調役
青山下野守忠裕:丹波篠山藩藩主で、老中
おしん:青山下野守の密偵
温不宣:唐人の頭
荘羅漢:唐人武術家

物語●文政二年の師走。想い人の北村おりょうの芽柳一派の旗揚げ・新春歌会を正月七日に控えて、小籐次はあわただしい日々を送る。久慈屋が用意した鏡餅をおりょうのもとへ猪牙舟で届ける途中、永代橋から転落した男を舟に救いあげる。男は腹を刺されて深手を負っていて、死の間際に、小籐次に「花御札 大黒町」と書かれた神社のお札のようなものを託した…。
「花御札」は何を意味するのか、江戸にはない「大黒町」とは? 探索を始めた小籐次は、やがて幕府の改鋳に絡む大きな事件に行き当たる…。

目次■第一章 師走の出来事/第二章 長崎の針職人/第三章 長崎から褌/第四章 新春初手柄/第五章 おしんの仕掛け

カバー・フォト:amana images
カバーデザイン:多田和博
時代:文政二年(1819)師走
場所:芝口橋、芝口新町、永代橋、新川銀町、須崎村、深川蛤河岸裏、亥ノ口橋、浅草仲見世、伝法院門前、吾妻橋船着場、神奈川沖ほか
(幻冬舎・幻冬舎時代小説文庫・600円・2011/02/10第1刷・342P)
購入日:2011/08/11
読破日:2011/11/20

Amazon.co.jpで購入

コメント

コメント