姫様お忍び事件帖 つかまえてたもれ


つかまえてたもれ_姫様お忍び事件帖 (徳間文庫)
姫様お忍び事件帖 つかまえてたもれ
(ひめさまおしのびじけんちょう つかまえてたもれ)
沖田正午
(おきだしょうご)
[ユーモア]
★★★★

文庫書き下ろし。

主人公の小坂亀治郎は、武州槻山藩で勘定方に属す下級武士。算術の才があることから勘定方に配されていて姿見は冴えないが、実は槻山藩では三指に入る剣の遣い手である。
藩主大谷忠次の供侍として江戸に出てきた。二十五歳にして生まれて初めて江戸の地を踏んだ亀治郎に藩主は特別に七日の休日を与えた。

武州槻山で遊郭吉原の噂を耳にしていた亀治郎は、何やら面白そうと吉原遊びを企てる。しかし、繁華な通りで財布を掏り取られて無一文に、おまけに秘密を抱えた大家の身分の娘お鶴を助けて、珍道中に。

お鶴は、実は御三卿の清水徳川家の当主斉順の四女鶴姫で、七日後に婚姻の儀を控えて屋敷を飛び出してきたのだった。

第一章は「江戸の休日」とタイトルが付けられているが、まさに「ローマの休日」の江戸版といったところ。

鶴姫に逃げられた清水徳川家の侍たち、亀治郎とお鶴に因縁をつけるが逆に懲らしめられて子分となるごろつきや、行方不明の姉を捜して、亀治郎らに合流する娘・お秋、訳ありの若者たちの相談に乗ろうとするお節介な老人二人連れなど、ユニークなキャラクターが次々登場する。いちばんおいしいところは、鶴姫のペットの狆の与与丸の名犬ぶり。

浅草奥山で、亀治郎とお鶴らが観た芝居の演目が『夜中月狸館腹鼓宴』で、狸の着ぐるみを被って、ぽんぽこぽんぽこと腹を打つだけの芝居というのが笑った。そういえば、主役は亀治郎とお鶴で、「鶴亀」とめでたいネーミングになっている。

主な登場人物
小坂亀治郎:武州槻山藩勘定方下級武士。示幻真影流の剣の遣い手
お鶴:御三卿清水徳川家の当主斉順の四女、鶴姫。銃六歳
薬研の権三:ごろつき
市松:ごろつき
平吉:ごろつき
吉本忠左衛門:清水徳川家奥方御用人
横山靖之進:清水徳川家の徒士目付組頭
西川:清水徳川家の徒士目付
海原小平太:清水徳川家の徒士目付
酒井国太郎:清水徳川家の徒士目付
大木善兵衛:清水徳川家の徒士目付
与与丸:鶴姫の愛犬・狆
お秋:北千住の八百屋の娘
お夏:お秋の姉
徳五郎:田原町の元博徒の貸元
善六:元口入屋『橘屋』の主人
文太:山神一家の親分
芋吉:山神一家の代貸
坂東光三郎:市山座の座長
捨造:市山座の下足番
鬼雲の五郎左:鬼雲一家の親分
梶川:大目付
榊:作事奉行
堤仙左衛門:一千石旗本。小普請組

物語●武州槻山藩主大谷忠次から特別に七日の休日ををもらった勘定方の小坂亀治郎は、戻りの旅に二日を取っておき、五日間を江戸の見物にあてることにした。初めての遊郭吉原での遊びに出かける途中に、柳原の通りで掏摸に十両入った財布を掏り取られてしまう。
あげくに、腹が減って入った煮売り茶屋で無銭飲食に。そのとき、若い女の悲鳴を聞いて店の外に出ると、往来の真ん中で若い町人娘が五、六人の侍に囲まれて無理やり連れ去られようとしていた。亀治郎は棒切れ一本で侍たちを倒して、娘・お鶴の手を引いて逃げた…。

目次■第一章 江戸の休日/第二章 それぞれの事情/第三章 人身御供/第四章 奪還作戦

カバーイラスト:柴田ゆう
カバーデザイン:ムシカゴグラフィックス 鈴木俊文
時代:天保六年
場所:柳原通り、両国広小路、浅草、清水徳川家、浅草奥山、浅草花川戸、米沢町、柳橋、九段坂下、谷中、橋場浅茅が原、ほか
(徳間書店・徳間文庫・590円・2010/05/15第1刷・2011/03/25第6刷・331P)
入手日:2012/05/10
読破日:2012/05/30

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