戦国城砦群


戦国城砦群
(せんごくじょうさいぐん)
井上靖
(いのうえやすし)
[戦国]
★★★☆☆

ゲストブックでおすすめの一冊を見つけたのでGet! 久々の井上靖作品に挑戦。以前に『真田軍記』を読んでいたが、井上靖さんと聞くと、晩年の重厚な文学者のイメージが強くてどうも構えてしまう。

武田家滅亡から秀吉が天下を手にするまでの、戦国最激変時代を舞台に、五人の男女(酒部隼人、千里、大手荒之介、藤堂兵太、弥々)の恋模様を中心に物語は展開する。戦国時代に舞台を借りた、ちょっと古風な青春小説という感じで、純文学の雰囲気をもった作品でもあり、意外ととっつきやすい。

解説の福田宏年さんが、時代小説と歴史小説の違いを言及されていたのが興味深い。解説が書かれた当時(1980年ごろ)、歴史小説=純文学、時代小説=大衆文学という考え方が読書界の諒解事項になっていたそうだ。歴史小説と時代小説に関するこういう考え方は、わが国の文壇特有の考え方で、森鴎外の有名な「歴史其儘」と「歴史離れ」という対立した考え方に拠っているらしい。なるほど。

物語●武田家滅亡に際して、千里を落城する新府城から救出した酒部隼人。千里は命の恩人・隼人に心なじまぬものを感じ、逆にたまたま知り合った織田家の武士・大手荒之介に心惹かれてしまう。また、武田家滅亡とともに、盗賊同然の一団に加わる藤堂兵太は、野性的な頭領の娘・弥々に心奪われる…。

目次■落武者/広野/早春/陽と波と/甲斐信濃/雷雨/火/出陣/再会/朝焼け/敗戦/居合抜き/夏の陽/解説 福田宏年

カバー:粟屋充
解説:福田宏年
時代:天正十年。
場所:釜無川上流、新府、若神子村、石山、諏訪・有賀ほか。
(文春文庫・447円・80/12/05第1刷・94/10/05第10刷・348P)
購入日:00/02/12
読破日:00/04/11

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