時代小説●文庫新刊情報|2025年6月中旬の新刊(11日→20日)
2025年6月11日から6月20日にかけて文庫で発売される時代小説の新刊情報をお届けします。おすすめの新刊の紹介文は、Amazonの内容紹介より抜粋・編集しています。各タイトルには、Amazon.co.jpの詳細紹介ページへのリンクを設定しています。 →新刊情報リストを見る
双葉文庫
井原忠政さんの『三河雑兵心得(16)-関ケ原仁義(中)』
九死に一生を得た茂兵衛の傷が癒えたころ、会津征伐の陣触れが諸大名に下されました。上杉景勝の戦支度を正す家康の書状に対し、上杉家家老の直江兼続が無礼極まりない返書を寄越したのです。
しかし、江戸を経て会津に向かおうとした矢先、石田三成の挙兵の報が舞い込みます。家康はすぐに北上を中止し、畿内へ引き返して三成を討つ決意を固めました。茂兵衛率いる鉄砲百人組は、先鋒を務める福島正則、黒田長政といった猛将たちとともに、東海道を西へと駆け抜けます。戦国足軽出世物語、風雲急を告げる第十六弾です。
幻冬舎文庫
井川香四郎さんの『鯛飯と花嫁 渡り庖丁人 喜助』
赤穂事件が江戸の話題をさらっていた元禄期、日本橋の仕出し料理屋「えびす屋」の庖丁人・喜助は、素性の知れぬ男ながら、備前宝楽流庖丁道を極めた腕前で、女将・八重から絶大な信頼を得ていました。
その料理には、客の心の澱までも取り除いてしまう不思議な魅力があります。今日もまた、新たな注文が舞い込みます。いったいその客とは――? 表題作を含む、全四話を収録した一冊です。
村木嵐さんの『まいまいつぶろ』
うまく言葉を話せず、誰にも思いが届かない。歩いた後には尿の跡が残ることから「まいまいつぶろ」と呼ばれ、蔑まれた第九代将軍・徳川家重。そんな彼のそばに常に寄り添い、言葉を理解できたのは、何の後ろ盾も持たない小姓・兵庫だけでした。
「もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば」――。不器用ながらも深い絆で結ばれた二人の姿を描いた、落涙必至の傑作歴史小説です。
谷津矢車さんの『ぼっけもん 最後の軍師 伊地知正治』
幕末維新の時代。わずか七百の兵で四倍の幕府軍を撃破した、片眼片足の不自由な「類まれなる軍略家」伊地知正治。激烈な性格で兵を率い、勝ち続けてきた彼が、新時代に見たものは、荒廃した土地で貧困にあえぐ民の姿でした。
大久保利通、西郷隆盛と並び称されながら、表舞台から姿を消したその理由とは――? “この国のかたち”を問う、心揺さぶる傑作歴史小説です。
時代小説文庫
あさのあつこさんの『光のしるべ えにし屋春秋』
「今日は実入りが少なかった」と話す物乞い仲間のおみきに連れられて、八つほどの年だという信太が〈えにし屋〉を訪れました。
店には同じころ、やけに疲れた様子の夫婦が人探しの依頼に訪れます。五年前の火事の夜に三歳で生き別れた息子・平太を探してほしいというのです。生きていたとしても今はもう八歳。顔も背丈もすっかり変わっているはず。それなのに、なぜ今になって――?
お頭の才蔵は「望み薄」と呆れますが、夫婦のただならぬ気配に心を動かされたお初は、依頼を引き受けます。ところが、お初が調査を頼んだおみきが殺されてしまい……。交錯する謎と人の縁を描く、傑作長篇時代小説シリーズの第二作です。
小路幸也さんの『素晴らしき国 Great Place』
かつて美濃の国と尾張の国の境目、二地見川のほとりに存在したという〈いよの国〉。そこは、不老不死の女性が築いたとされる地で、戦乱の世に争いをなくし、穏やかで豊かな〈素晴らしき国〉をつくるための人材が育てられていました。
その地で育った優秀な者たちは、国を治める力ある者のもとに送り出され、その支えとなっていたのです。たとえば、織田信長に嫁いだ女性、明智光秀、豊臣秀吉――彼らもまた、その系譜に連なる者たちでした。
未体験の本格時代ロマンが、ここに誕生です。
講談社文庫
矢野隆さんの『籠城忍 上田城攻防戦』
寡兵の真田軍が徳川の大軍を二度にわたって撃退したことで知られる上田合戦。その第一戦は、天正13年(1585年)に起こりました。上野国沼田領をめぐり、地元の国人・真田昌幸と徳川家康が対立。上杉、北条、徳川の三勢力が接する東信濃から西上野を治めていた昌幸は、徳川への従属を拒み、ついには上杉へと寝返ります。
怒りに燃える家康は大軍を率いての遠征を決意。その直前、上田城への潜入を伊賀者の棟梁・服部半蔵に命じます。一方、真田昌幸は、出浦対馬守が率いる三ツ者(真田忍軍)を城下の守りに就かせます。
真田1700 vs 徳川7000――激突を前に、三ツ者と伊賀忍者、佐助と才蔵 vs 服部半蔵の暗闘が幕を開けます。
角川文庫
宮部みゆきさんの『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』
洒落た袋物を扱う店〈三島屋〉の次男・富次郎は、一風変わった百物語の“聞き手”を務めています。「黒白の間」で語られる怪談は、決して外には漏らされない決まりです。
初代聞き手のおちかのお産が迫り、慌ただしさを増す三島屋に、土の匂いをまとった女が現れます。「うりんぼ様」と呼ばれる不動明王像とともに語られたのは、行き場を失った女たちの数奇な運命の物語でした。
特別収録として、短編「面影鬼」も収めた、宮部みゆきならではの人情怪談です。
集英社文庫
小川哲さんの『地図と拳 上』『地図と拳 下』
【第168回直木賞受賞作】
【第13回山田風太郎賞受賞作】
「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に通訳として帯同した細川。ロシアの鉄道網拡張のために派遣された神父クラスニコフ。桃源郷の噂に騙されて満洲へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しないはずの島を探し、海を渡った須野。
日露戦争前夜、満洲の名もなき都市に呼び寄せられた彼らは、「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生き抜きます。
広大な白紙の地図を握りしめて、彼らがそこに描いた夢とは――。
圧倒的スケールで描かれる、歴史×人間×幻想の傑作長篇です。
赤神諒さんの『はぐれ鴉』
【第25回大藪春彦賞受賞】
寛文六年、豊後国・竹田藩で、城代一族二十四人が殺されるという凄惨な事件が発生しました。
一命を取り留めた城代の次男・次郎丸は復讐を誓い、江戸で剣術の腕を磨いて「才次郎」と名を改め、下手人である叔父・玉田巧佐衛門がいる竹田へ十四年ぶりに戻ります。
再会した巧佐衛門は、堤の普請に汗を流す清廉な城代となっていました。その意外な姿に心を乱される才次郎は、さらに巧佐衛門の娘で「竹田小町」と評判の英里に惹かれていきます。
恋か復讐か――心が千々に乱れる中、才次郎は煮えたぎる復讐心を支えに、必ず叔父を討つと誓いますが……。
一族惨殺の真相、そして竹田藩に秘められた謎とは? 緊迫の歴史ミステリーです。
北方謙三さんの『チンギス紀 九 日輪』
十三歳で故郷を離れ、流浪の末に帰還したテムジンは、ついにモンゴル族を統一し、「チンギス・カン」を名乗ります。
ケレイト王国を滅ぼし、勢力を拡大するテムジンは、弟のカサル、テムゲ、長男ジョチらに命じて、タヤン・カン率いるナイマン王国との決戦に挑みます。
そのナイマンの大軍の中には、かつての盟友ジャムカが、ホーロイやサーラルとともに千五百騎を率いて潜んでいました。
ナイマン軍の敗走を見届けたテムジンが馬首を返すと、眼前にあるはずのない“旗”を目にします。
――ジャムカ。
とっさに吹毛剣を抜いたテムジンでしたが、すさまじい斬撃を受けて落馬してしまいます。
激動の「チンギス紀」、新たなる展開が待ち受ける第九巻です。
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