2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

剣豪

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金杉父子の再会で、物語は最高潮

佐伯泰英さんの「密命」シリーズの最新刊『遠謀 密命・血の絆』を読んだ。毎回、いろいろな趣向が凝らされて、サービス満点のこのシリーズ。今まで大きく取り上げられることがなかった金杉惣三郎の次女の結衣に、今回はスポットが当たる。今までの物語では、...
伝奇

上田秀人版の『吉原御免状』

隆慶一郎さんの『吉原御免状』を初めて読んだときのコーフンと感動は、未だにうまく表現できない。類稀な想像力の昇華、第一級のエンターテインメントとロマンあふれる上質の文学性が堪能できる、伝奇時代小説のもつ懐の広さ、神髄をそこに見た思いがした。さ...
伝奇

「闇を斬る」と町奉行所同心の給料

荒崎一海さんの『闇を斬る 残月無情』を読んだ。『直心影流龍尾の舞い』『刺客変幻』『四神跳梁』に続くシリーズ第四作めにあたる。主人公の鷹森真九郎は、今治藩の目付役を務めていたが、藩内の抗争に巻き込まれて、妻の雪江を伴って出奔し、江戸で直心影流...
剣豪

今年文庫で読んだ一番面白い剣豪小説

北方謙三さんの『鬼哭の剣』を読み終えた。剣豪小説の中で折り紙付きの面白さをもつ「日向景一郎シリーズ」の中でも、今回の作品は最高傑作ではないだろうか。日向森之助は、江戸湯島の薬種問屋杉屋清六の使いで薬剤師菱田多三郎が滞在する糸魚川を単身訪れる...
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恐るべき青年剣士、日向森之助

北方謙三さんの『鬼哭の剣』を読んでいる。今回は、日向景一郎の弟、森之助を主人公に物語が進む。薬種問屋の使いで、薬種採取をする菱田多三郎のいる越後糸魚川を訪れた森之助の青春を描いていく。十五歳になった森之助。幼いころから二十歳になったら、兄と...