2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

市井人情

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時代小説のもつ現代性が魅力―『雲を斬る』

最近、ある人から尋ねられて、時代小説好きになった経緯や時代小説のどこが好きかという話をした。作家としては故人ではなく現役として活躍している作家たちの作品により惹かれると答えた。その理由の一つが、今出ている時代小説のもつ現代性が挙げられる。時...
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滝沢馬琴ゆかりの女たちの恋愛模様―ゆすらうめ

梓澤要(あずさわかなめ)さんの『ゆすらうめ 江戸恋愛慕情』を読んだ。梓澤さんは、1993年に「喜娘(きじょう)」で歴史文学賞を受賞して作家デビューした。寡作ながらも、奈良時代もの、戦国時代もの、江戸時代ものとさまざまな時代を取り上げている。...
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江戸時代の京をガイドする時代小説―公事宿事件書留帳

8月に京都に行ってから、断続的に澤田ふじ子さんの「公事宿事件書留帳」シリーズを読んでいる。第十三巻の『雨女』を読み終えた。このシリーズの魅力のひとつに、京の地理や町の成り立ちから、江戸時代の文化、人々の生活、風習まで、物語の中で興味深く読者...
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京を舞台にした時代小説で去り行く夏の思い出に

先週、夏休みをとって京都に遊びに行ってきた。「大人の修学旅行」をテーマに二泊三日の旅行で、京都を代表する観光名所を見て美味しいものを食べた。京都は何度か泊まったことがあったが、神社仏閣を見たのは中学校の修学旅行以来だったので、面白かった。一...
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江戸の数学と愛をテーマにした傑作時代小説

鳴海風(なるみふう)さんの『円周率を計算した男』を読んだ。10年ぐらい前に単行本で刊行されたときに読んでいるが、例によってストーリー展開など細部の記憶がすっかり抜け落ちていたので、初めて読むような感じで面白く読めた。鳴海さんは、1992年に...