2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

芸道

女性

再生と希望の時代小説

乙川優三郎さんの『冬の標(しるべ)』を読み始めた。乙川さんは、『霧の橋』で第7回時代小説大賞(平成9年)を受賞してデビューして以来、文学性の高い良質な時代小説を発表し続ける作家の一人である。デビュー当時は、マスメディアから「第二の藤沢周平」...
江戸

江戸時代の歌舞伎界

松井今朝子さんの『似せ者』は、江戸時代の歌舞伎界から題材をとった、4つの短編小説を掲載している。プロフィールによると、松井さんは早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了後、松竹に入社し、歌舞伎の企画・制作に携わる。のち、フリーとなり、歌...
江戸

武士の意気地と芸の道

ウェブサイト「時代小説SHOW」を開設して10年が過ぎた。今までに実に多くの方に、サイトを訪れていただいた。かつてメッセージボードを運営していたことがあった(今はサーバーの事情等で行っていない)。その折によく書き込みをしていただいた方に、久...
芸道

宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短編(5)

『宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短篇 (徳間文庫)』を読了する。表題作の宗旦以外は千家の人々は登場しないが、茶の湯にまつわるものや人に題材をとった佳品ばかり。澤田ふじ子さんの作品の美質が表れた短篇集。「仲冬の月」で描かれた「利休七哲」の一人、...
芸道

宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短編(4)

澤田ふじ子さんの茶をテーマにした短篇集『宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短篇 (徳間文庫)』のことに度々触れてきたが、実に興味の尽きない話題が多い。「愛宕の剣」という短篇では、宇治の茶師の上林家が登場する。茶師は格式によって、御物茶師、御袋茶師...