「密命」読本

「密命」読本「密命」読本
(みつめいどくほん)
佐伯泰英著、祥伝社文庫編
(さえきやすひで・しょうでんしゃぶんこ)
[解説本]

大好きな時代小説「密命」シリーズのファンのための解説書が発行された。十代の頃の金杉惣三郎を描いた短編「虚けの龍」も収録され、ファンとしてはうれしい限りだ。

「密命」シリーズの舞台となった江戸の町を散策する(というには強行軍だが)企画がとくに面白い。主人公の金杉惣三郎一家が住んでいた芝七軒町(芝の大門あたり)から、愛宕神社を回って茅場町の山王御旅所薬師堂までコースと、しのが丹精する菊屋敷界隈をめぐる飛鳥山散策コースを編集スタッフが踏破するというもの。随所に今に残る江戸の面影を確認できる。

「闘牛」を題材にしたノンフィクション『闘牛士エル・コルドベスの叛乱』で第1回PLAYBOYドキュメント・ファイル大賞を受賞した人が、20年の時を経て、時代小説家としてデビューするにいたった経緯を語ったインタビューが面白かった。昔、PLAYBOY誌で、同作品を読んですごいと思っていただけに、感慨はひとしおだ。

読みどころ●佐伯泰英さんの時代小説における代表作「密命」シリーズのファンのためのガイドブック。一巻から十二巻までの全作品から、その魅力を余すところなく解剖。「密命」の舞台を現代地図・古地図をあわせて案内する読み物や、登場人物と時代小説用語を紹介するなどうれしい企画が多い。
「虚けの龍」時は元禄三年。十六歳になったばかりの深井惣三郎(後の金杉惣三郎)は、剣の師、綾川辰信に、本性を殺すことを覚え、受けの剣を身につけよと命じられた…。

目次■関連御江戸全図と現代の東京 口絵|関連御江戸地図|『密命』番外・惣三郎青春篇 虚けの龍 佐伯泰英|闘牛から時代小説へ ◎佐伯泰英インタビュー 聞き手/細谷正充(文芸評論家)|登場人物紹介|●コラム ①長屋暮らし ②江戸町人お仕事拝見 ③江戸の豪商 ④江戸火消 ⑤町奉行と町方たち ⑥江戸の船 ⑦剣術の聖地・鹿島 ⑧江戸の物見遊山 ⑨豊後佐伯藩 ⑩吉宗と女性 ⑪尾張・宗春の実像 ⑫江戸っ子グルメ道|歩いてみた『密命』の江戸東京(強行軍の御江戸・芝~大川端/のんびり飛鳥山散策編)|密命論 細谷正充|『密命』の時代 楠木誠一郎|惣三郎十一番勝負!|金杉父子の剣と修行|金杉清之助・父を超えて ◎付録・清之助回国修行マップ|佐伯泰英 作品総覧 細谷正充|『密命』年表|佐伯泰英 写真ギャラリー『闘牛』 ◎佐伯泰英エッセイ「闘牛と私」

カバーデザイン:芹澤泰偉
(祥伝社文庫・714円・05/04/20第1刷・441P)
購入日:05/06/02
読破日:05/06/18

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