2023年時代小説SHOWベスト10、発表!

銭形平次・青春篇

アドセンス広告、アフィリエイトを利用しています。
スポンサーリンク

銭形平次・青春篇銭形平次・青春篇
(ぜにがたへいじ・せいしゅんへん)
野村胡堂
(のむらこどう)
[捕物]
★★★★

巻末エッセイを小笠原京さんが担当。『旗本絵師藤村新三郎』シリーズの創作秘話を語っておられるのが興味深い。TVのイメージ(大川橋蔵さんと北大路欣也さん)と違って、タイトルどおり平次が若々しくって、びっくり。お静(初出時は、何と十七、八で両国の水茶屋で働いていた)と結婚前で、あまり貫禄がない分、明朗で、江戸っ子らしくて颯爽としている。

第一話では、将軍家光のころの話になっていたのにも、ちょっとびっくり。解説によると、作品が進むにつれて時代が下がり、最後は文化文政時代までなだれ込んだようである。『美男狩』(講談社大衆文学館)で見せた、伝奇小説ぶりも見られて得した気分。
講談社大衆文学館から新作が出なくなって1年間ぐらいたっているので、このシリーズの行方が心配。絶版にならなければいいが…。

物語●「金色の乙女」平次は、与力の笹野新三郎から将軍家光に遠矢をかけた曲者を探し出すように命じられた…。「振袖源太」平次は、身投げをしようとした老爺を助けたことから事件に巻き込まれる…。「大盗懺悔」人間業では盗めそうもないものを盗んで、三日以内に、元の持ち主に返すという不思議な盗賊が、江戸中を荒らしまわっていた…。「呪いの銀簪」涼み舟の中で、若い芸妓が眼球に銀簪を刺されて殺されていた…。「幽霊にされた女」商家の小町娘が供をしていた女中の目の前で行方知れずになり、その後、幽霊になり家族に注文をだしたという怪事件が起こった…。「復讐鬼の姿」与力の笹野新三郎が鈴ガ森の磔刑に立ち会った日、家族がいろいろ怖い目にあった…。「お珊文身調べ」平次と八五郎は、〝文身自慢会〟に出かけた…。「鈴を慕う女」ガラッ八は、平次に命じられて、袂に血をつけた不審な若い娘の跡をつけたが…。「人肌地獄」庚申塚の黒木長者の屋敷の近くの地蔵の肌が暖かいという、珍現象に巣鴨は大騒ぎになっていた…。「七人の花嫁」祝言の晩に、花嫁が消えるという事件が続出し、その解決に平次が乗り出した…。

目次■金色の乙女|振袖源太|大盗懺悔|呪いの銀簪|幽霊にされた女|復讐鬼の姿|お珊文身調べ|鈴を慕う女|人肌地獄|七人の花嫁|巻末エッセイ 小笠原京|人と作品 新保博久

デザイン:菊地信義
人と作品:新保博久
時代:寛永十八、九年ごろから
場所:大塚御薬園、両国、小日向、浅草奥山、徳蔵稲荷、庚申塚ほか
(講談社大衆文学館・757円・96/06/20第1刷・325P)
購入日:99/07/04
読破日:99/07/06

Amazon.co.jpで購入