関ヶ原連判状

関ヶ原連判状
関ヶ原連判状
(せきがはられんぱんじょう)
安部龍太郎
(あべりゅうたろう)
[戦国]
★★★★☆☆

世田谷文学館で、縄田一男さんとの対談を見て以来、ますます安部さんのファンになってしまった。容貌に似合わぬ軽妙な語り口と、対談後にいただいたサインがダメ押しになったようだ。

本書は、対談の中でも取り上げられ、また安部さんが現在執筆中の作品も関連するということで、石田三成がかわいそうなので、関ヶ原ものは苦手で、買うだけ買っておいて3ヵ月以上も放っておいたのだが、帰宅すると無性に読みたくなった。

期待を裏切らない、快作。古今和歌集の伝授が、関ヶ原の合戦の行方に影響を与えたという、設定の奇想天外さが600ページを超えるボリュームたっぷりの作品を最後まで一気に読み通させてくれる。

戦国時代屈指の謀略家細川幽斎や、蒲生氏郷(いつもチョイ役なので個人的に非常に興味ある武将)の侍大将・蒲生源兵衛郷舎、公家の西洞院時慶や中院通勝ら、一癖もふた癖もあるキャラクターが奥行きを与えている。

かつて病床の隆慶一郎さんが、『血の日本史』を読み、当時無名の安部さんに会いたい、といったのは有名なエピソードだが、そういえば『関ヶ原連判状』というタイトルは『吉原御免状』と似ているなぁ。

物語●前田利家の死後、家康と三成の間で一触即発の状態の頃、加賀白山神社直属の戦闘集団・牛首一族の石堂多門は、藤色の包みをほおかむりの男に奪われかけた若い女を助けた。その女は、前田利家の未亡人・芳春院の侍女で、京の細川幽斎のもとへ、前田家家老の横山大膳とともに訪れるところだった…。
ちょうどその頃、細川幽斎は、後陽成天皇の弟・八条宮智仁親王に古今伝授を行っていた…。

目次■第一章 細川幽斎/第二章 石田三成/第三章 智仁親王/第四章 加賀百万石/第五章 牛首一族/第六章 前田利長/第七章 幽斎帰国/第八章 細川ガラシア/第九章 大坂屋敷炎上/第十章 田辺城篭城/第十一章 激戦初日/第十二章 古今伝授/第十三章 第三の道/第十四章 前田家、西へ/第十五章 和議の使者/第十六章 停戦三日/第十七章 朝廷工作/第十八章 緊急陣定/第十九章 勅命和議/第二十章 天下無事の義/第二十一章 岐阜城陥落/第二十二章 秘策/第二十三章 信長供養/第二十四章 東への使者/第二十五章 密謀の行方

装画:西のぼる
時代:慶長五(1600)年三月
舞台:京、金沢、丹後田辺。
(新潮社・2330円・96/10/20第1刷、97/1/25第4刷・645P)
購入日:97/7/27
読破日:97/11/16

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