2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

第14回日本歴史時代作家協会賞候補作、12冊が届きました!

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第14回日本歴史時代作家協会賞候補作12作6月16日(月)、日本歴史時代作家協会より第14回日本歴史時代作家協会賞の候補作品が発表されました。今回より、伝奇時代劇アジテーター・書評家の三田主水(みた・もんど)さんが、新たに選考委員に加わりました。

選考委員を務める理流のもとにも、日本歴史時代作家協会事務局より、新人賞、文庫書き下ろし新人賞、作品賞の各賞にそれぞれ4作ずつ、計12冊の候補作が届いています。

並べてみると、実に壮観で、かつ大好きな作品に囲まれて幸せな気持ちになります。
すでに読了している作品も多いのですが、これから8月の選考会までにすべてを読み直し、慎重に選考へ臨むつもりです。

第14回日本歴史時代作家協会賞候補作品、発表!
2025年6月16日(月)、日本歴史時代作家協会より、第14回日本歴史時代作家協会賞の新人賞、文庫書き下ろし新人賞、作品賞の3部門の候補作品が発表されました。候補作は以下の通りです。なお、受賞作品は、8月24日(日)に選考委員による選考の末...

それでは、各賞の候補作と著者について簡単にご紹介します。

【新人賞】

新人賞らしく、フレッシュな顔ぶれが揃いました。

米原信(まいばら・しん)さんの『かぶきもん』(文藝春秋)
第102回オール讀物新人賞受賞作「盟信(かみかけてしん)が大切」を含む連作集です。文政年間、江戸歌舞伎の二大スター、三代目尾上菊五郎と七代目市川團十郎が火花を散らす、華麗な歌舞伎の物語。

藍銅ツバメ(らんどう・つばめ)さん『馬鹿化かし』(集英社)
2021年に若旦那と人魚の恋を描いた『鯉姫婚姻譚』で「日本ファンタジーノベル大賞2021」大賞を受賞した著者。本書『馬鹿化かし』(集英社)は、著者のっデビュー第2作。今度は、処刑人・山田朝右衛門と、不老不死の忍者・服部半蔵がバディを組んで、妖怪退治を行う幕末ファンタジーです。

桜井真城(さくらい・まき)さんの『雪渡の黒つぐみ』(講談社)
2024年、第18回小説現代長編新人賞受賞作の忍者小説です。キリシタンへの迫害が進む中、過激な新興宗教の台頭や領地争いなど火種を抱える南部藩は、七色の声を遣う忍者を隣国・伊達藩に侵入させます。読み始めたら止まらない、時代エンターテインメント。

アグニュー恭子さんの『世尊寺殿の猫』(論創社)
鎌倉時代末期を舞台にした青春ミステリー。16歳の足利高国(後の直義)は、公卿で能筆家の世尊寺行尹(ゆきただ)の書を入手するよう母に命じられますが、世尊寺殿は目当ての猫と引き換えに書を渡すと…。書をめぐる若き日の直義の冒険。

【文庫書き下ろし新人賞】

文庫書き下ろし作品を重視してきた協会ならではの、ユニークな新人賞です。

麻宮好(あさみや・こう)さんの『お内儀(かみ)さんこそ、心に鬼を飼ってます おけいの戯作手帖』(コスミック時代文庫)
著者は、2022年、時代小説の『恩送り 泥濘の十手』で第1回警察小説新人賞を受賞。候補作のは、戯作者見習いのおけいと「見えないもの(=幽霊)が見える」弟で絵師の幸太郎の姉弟が怪異事件に挑む市井人情ものです。

笹木一(ささき・いち)さんの『鬼にきんつば 坊主と同心、幽世(かくりよ)しらべ』(新潮文庫)
日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作。鬼瓦のような顔をし、剣の腕も折紙付きの河原小平次は、「鬼の河原」と恐れられる北町同心。いかつい外見に似合わず、幽霊が苦手。新しい店子となった僧侶・蒼円はイケメンながら幽霊が見えるという。この二人がバディとなって、幽霊がらみの市井の謎を解く人情推理帖です。

笹目いく子(ささめ・いくこ)さんの『深川あやかし屋敷奇譚』(アルファポリス文庫)
2022年、アルファポリス第8回歴史・時代大賞にて、「調べ、かき鳴らせ」で大賞を受賞し、同時に「深川あやかし屋敷奇譚」で特別賞を受賞。2024年、「調べ、かき鳴らせ」を改題した『独り剣客山辺久弥 おやこ見習い帖』でデビュー。候補作は、若旦那仙之助と女中お凜のコミカルなやり取りが楽しい人情市井小説で、シリーズ化も期待される作品。

早川隆(はやかわ・たかし)さんの『幕府密命弁財船・疾渡丸(はやとまる) (一)那珂湊 船出の刻』(中公文庫)
アルファポリス第6回歴史・時代大賞特別賞を受賞して、『敵は家康』でデビューした著者。初の文庫書き下ろし作品は、密命船とその乗組員たちを主人公にし、各地の湊をめぐって、悪を懲らしめる海洋活劇です。

【作品賞】

新たな読者を歴史時代小説のジャンルに誘う、力をもった作品ばかりです。

周防柳(すおう・やなぎ)さんの『恋する女帝(みかど)』(中央公論新社)
天才歌人藤原定家の恋と「百人一首」の謎を描いた『身もこがれつつ 小倉山の百人一首』で第28回中山義秀文学賞を受賞。受賞後第1作になる本書は、奈良時代の女帝・孝謙天皇(のちの称徳天皇)と道鏡の許されぬ恋を描いた歴史小説です。

滝沢志郎(たきざわ・しろう)さんの『月花美人』(KADOKAWA)
2017年、『明治乙女物語』で第24回松本清張賞を受賞してデビューした気鋭の小説家。候補作は、江戸時代、偏見の強かった女性の月経の処置の問題に光を当て、生理用品の開発と普及に取り組んだ郷士と女医者、商人の世直しを描いた感涙の医療小説です。

野上大樹(のがみ・たいき)さんの『ソコレの最終便』(ホーム社)
2015年、「霧島兵庫」名義で第20回歴史群像大賞優秀賞を受賞し、『甲州赤鬼伝』でデビュー、戦術的な面に着目した歴史小説を発表。2023年に野上大樹に名義変更し、本書は名義変更後初の刊行作です。タイトルの「ソコレ」とは、陸軍一〇一装甲列車隊が運用する装甲列車のこと。終戦間際の満洲を装甲列車が走る戦争小説であり、鉄道冒険小説です。

吉森大祐(よしもり・だいすけ)さんの『茨鬼(いばらき) 悪名奉行茨木理兵衛』(中央公論新社)
2017年、『幕末ダウンタウン』で小説現代長編新人賞を受賞してデビュー。本書は、天明の大飢饉後、莫大な借金に喘ぐ、伊勢三十二万石藤堂家の財政再建を担い改革に取り組んだ若き郡奉行・茨木理兵衛の奮闘を描いた長編小説。第14回本屋が選ぶ時代小説大賞の候補作にも選ばれています。

受賞作が決まる8月まで、ワクワクする日々が続きます。
興味を持った作品があったら、ぜひ、読んでみてください。