時代小説●文庫新刊情報|2025年10月上旬の新刊(1日→10日)
2025年10月1日から10月10日に文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。おすすめの新刊の紹介文は、Amazonの内容紹介より抜粋・編集しています。各タイトルの詳細はAmazon.co.jpの紹介ページからご覧いただけます。
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実業之日本社文庫
喜多川侑さんの『深川おせっかい長屋 綿を入れて、恋をほどいて』
神田の大火で両親を亡くしたお奈々は、普段は元気いっぱいですが、ときに突然寂しさに襲われます。そんな折、奉公先の大手呉服問屋で、手代・藤三郎に恋心を抱き、小袖の綿入れを申し出ます――。
火消の玉造は火事場で救った髪結いの女に心を動かされ、南部水沢藩の浪人は女敵討ちのために長屋へやって来ます。魚売りの権助もまた、身近な女性に心を奪われていきます。魅力的な長屋の人々が織りなす、あたたかな江戸人情譚。読めば元気が湧いてくる一冊です。
時代小説文庫
髙田郁さんの『志記(一) 遠い夜明け』
文化元年(一八〇四年)如月、清明の日に二人の女児が産声を上げました。ひとりは蔵源美津。蔵源家は黒兼藩で代々藩医を務める家系で、祖父の教随は秘密裏に腑分けを行い、父の恵明は藩医学校「青雲館」を担う立場にありました。
もうひとりは高越暁。備前刀を手掛ける刀鍛冶の一族で、祖母の高越剡は「女忠光」の異名を取っていました。
成長した美津は医学を、暁は鍛刀を志すことになります。焔のように猪突猛進な美津と、氷のように冷静な暁。女には困難とされた道を選んだ二人の人生が、十九の初夏、思いがけず江戸で交錯します。
志を胸に人生を切り拓いていく者たちを描く群像劇、いよいよ開幕です。
朝日文庫
戸田義長さんの『うたかた 吉原面番所手控』
花魁・夕顔の推理を頼りに、遊郭内での事件を次々と解決してきた隠密廻り同心の木島平九郎。しかし体調不良のため出仕できなくなってしまいます。夕顔は代役の新人同心とともに、再び事件の解決にあたりますが……。書き下ろしシリーズの第二弾です。
伊東潤さんの『天下大乱』
秀吉の死後、家康と大坂方の対立は激化します。家康は石田三成を隠居に追い込み、毛利家などの内紛にも介入します。やがて家康謀殺計画の黒幕が前田利長であることが判明し、加賀征伐が決することに……。家康と輝元の視点から、最新史料を駆使して圧巻のリアリティで描き出す長編時代小説です。
文春文庫
井原忠政さんの『真田武士心得〈一〉 右近純情』
叔父の裏切りで全てを失った鈴木右近。心に誓ったのはただ一つ、両親の無念を晴らすための復讐でした。孤児となった彼を拾い、成長を温かく見守る主君・真田信幸夫妻。主への忠義と仇討ちの狭間で、ひとりの若者が己の信義を貫くため、野太刀を振るいます。激動の戦国時代を駆け抜ける男の熱き魂の成長物語が、いま幕を開けます。
「三河雑兵心得」「北近江合戦心得」シリーズに続く、井原忠政さんの「戦国三部作」となる「真田武士心得」シリーズが、堂々の開幕です。
PHP文芸文庫
細谷正充編さんの『こいもよう 〈恋情〉時代小説傑作選』
シリーズ累計55万部突破!
猫が取り持つ縁、離縁した夫への複雑な想い……江戸の恋は、ままならないものです。
江戸を舞台に、すれ違う男女の情を描いたアンソロジーです。
収録作品と作家:
「茂弥・勢登菊」 西條奈加
「異聞 井戸の茶碗」 金巻ともこ
「一陽来復」 梓澤要
「魂消の庭」 三好昌子
葉室麟さんの『闇中問答(あんちゅうもんどう)』祥伝社文庫
辻堂魁さんの『みこころ 風の市兵衛 弐』
江戸のかくれ切支丹をほのめかす手紙を残し、三田の陰陽師・うしな秋蔵が殺されます。
一方、近くの岡場所で下女奉公をしていたみつぐは、道で折檻されていたところを呉服太物所の女将・婉に救われます。ところが、偶然にも婉の秘密を知ってしまったみつぐは、唐木市兵衛を頼ることに。
異変を察した市兵衛が独自に探索を進めると、秋蔵殺しの復讐に燃える陰陽師一派もまた周囲を嗅ぎ回り……。
簑輪諒さんの『でれすけ 常陸の鬼・佐竹義重』
かつて鬼と恐れられた荒武者、佐竹義重。子・義宣に家督を譲り隠居の身となった義重に、天下統一を成した豊臣秀吉から常陸平定の命が下ります。
佐竹家の悲願成就に乗り出す義重でしたが、義宣から届いたのは御家の存続すら危うくする報せでした。
終わりゆく戦国の世で変化に戸惑う義重と、己のやり方で権力と渡り合う義宣。名門・佐竹家を護り抜いた父子の勇姿を描く歴史小説です。
文庫版特別書き下ろし「佐竹義重略伝」を収録しています。
徳間文庫
天羽恵さんの『もゆる椿』
第六回大藪春彦新人賞受賞作家の長篇デビュー作です。
「無念を晴らすためやったら、鬼にでも夜叉にでも、喜んでなったる」
旗本の次男坊・真木誠二郎は、裏目付の佐野からある御役目を申し渡されます。
それは、尊王攘夷派の黒幕を誅殺するため、江戸から京まで刺客の供をせよというものでした。
しかし、誠二郎は生来の臆病者。鬼のような刺客を想像して怯えますが、現れたのは年端もいかぬ少女・美津でした。
悲しい過去を背負う彼女を守るため、誠二郎は死力を尽くすことを心に誓います。
謀略が渦巻く仇討ちの旅路、運命に翻弄される二人の行方は――。
壮大な時代ロマンの幕がいま開きます。
!おすすめ度
★:読みたい/入手したい
■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
◎:文庫書き下ろし


