2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

市井人情

女性

「妻恋坂」から始まる江戸の女性たちの人生模様

北原亞以子さんの『妻恋坂(つまこいざか)』を読んだ。表題作をはじめとする8編の短編で構成される時代小説短編集。西国の武家の男女の恋の行方を描き、大坂に舞台を置いた「仇討心中」を除くと、いずれも江戸で自立する女性を描いている。妻恋坂 (文春文...
市井人情

疲れた心を浄化してくれる人情時代小説

昨夜は、会社の同じ事業部でアルバイトで勤めてくれたOさんの送別会だった。Oさんは、感情に左右されることが少なく淡々としながらも、確実に与えられた仕事を進めてくれる。ミスが少なく、気が利くところがあり、得難い存在だった。昼食時はいつも本を読ん...
市井人情

「居眠り磐音」シリーズに登場する御典医桂川家とは

佐伯泰英さんの『白桐ノ夢』を読んだ。痛快時代小説「居眠り磐音」シリーズの第二十五弾である。二十五冊目にもなると、多彩な登場人物たちが物語に興趣を添えることになる。今回の巻では、将軍家世子(江戸城西の丸の主)の徳川家基の主治医を務める御典医に...
市井人情

「かわせみ」の江戸も残りわずか

平岩弓枝さんの『小判商人』を読んだ。『新・御宿かわせみ』と題して明治編が始まったが、「御宿かわせみ」シリーズの33作目で江戸編で文庫化されていないのは『浮かれ黄蝶』を残すばかりとなった。一つの時代の終わりが近づき、何とも言えない淋しさがある...
市井人情

「様子のいい大人」が続々登場する時代小説

山本一力さんの『峠越え』を読んだ。文庫版の帯に、“「様子のいい大人」が続々登場”というキャッチコピーが書かれている。山本さんの作品の魅力の一つが、「様子のいい大人」が登場することだ。「様子のいい大人」とは、仲間が辱められようとするとためらわ...