江戸あるき 西ひがし
(えどあるき・にしひがし)
早乙女貢
(さおとめみつぐ)
[江戸入門]
♪著者は、1969年『僑人の檻』で直木賞受賞し、『会津士魂』などの歴史・時代小説でおなじみの早乙女さん。曽祖父は会津藩士とのこと。
最近、会社関係の有志と、江戸情緒研究会をスタートした。といっても、まだ2回しか活動していないが…。東京に残る江戸の情緒を掘り起こし、味わうという趣旨のものだ。そのネタ本の一つとして、本書を読んだ。肩の凝らない読み物として、時代小説家の著者が江戸の町々のエピソードを綴っている。
そんな中で、新選組で知られる近藤勇の道場“試衛館”は、“誠衛館”の間違いではないかという指摘は、興味深かった。確かに“試”と“誠(新選組の隊旗の文字として有名)”は、崩してみるとよく似ている。
現在の地図も掲載しているので、江戸歩きガイドとして役立つ。また、巻末に索引がついているのも親切だ。
読みどころ●現在の東京で、書斎から飛び出した時代小説作家の眼がとらえた江戸の名残と風景。浅草奥山の美女のいた茶屋から青山の屋敷町で憤死した高野長英の旧跡まで、足で探った江戸情緒のルポ。知られざる歴史のエピソードを紹介する作者の薀蓄話も楽しい、当世地図入り江戸歩きガイド。
目次■浅草奥山歌仙茶屋/世直し大明神/酉の市鷲明神/恐れ入谷の朝顔市/鶯と日暮しの里/谷中お仙茶屋/谷中延命院/不忍通り根津権現/けころ女の広小路/本郷菊坂あたり/お茶の水忠弥坂/神田ゆうれい坂/神田明神下/向島梅若塚/長命寺桜餅/縛られ地蔵/柴又の帝釈天/亀戸天満宮/亀戸梅屋敷/女郎と時ノ鐘/桜吹雪か金四郎/佃島の人足寄場/新選組と試衛館/振袖火事/四谷界隈忍者寺/四谷お岩稲荷/増上寺心中/狸坂・狐坂/高輪桂坂界隈/東禅寺公使館/麻布善福寺/山王の夏祭り/赤坂豊川稲荷/三分坂と雷電/青山五十人町/長英憤死の地/羅生門横丁/解説 小笠原京/索引