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裏稼ぎ 莨屋文蔵御用帳

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裏稼ぎ 莨屋文蔵御用帳
裏稼ぎ 莨屋文蔵御用帳

(うらかせぎ たばこやぶんぞうごようちょう)

西村望

(にしむらぼう)
[捕物]
★★☆

西村望さんというと、社会派犯罪小説家で、代表作は「鬼畜」「丑三の村」など映画化された作品がある。その作者の新境地がこの捕物小説だ。男女の愛欲のもつれから生じる事件がテーマの連作。

主人公は、江戸浜町河岸と人形町にはさまれた住吉町のへっつい河岸の稲荷社の前に莨屋を営む、岡っ引き文蔵。南蛮渡りのガラス細工のがらくたを集めていることから「ジャガタラの親分」とも呼ばれている。従来の岡っ引き像からかけ離れて、駆け落ちした女を捕まえて裸にして我がものにしたりもする即物的なところをもっている。現実には岡っ引きのほとんどがこんなものではないだろうか。そのため、読了感が悪い。時代は、はっきり記されていないが、風俗描写から江戸末期らしい。

物語●「江戸の黄鶏雌鳥」二組の欠け落ち男女。「消えた十手擬」にせ岡っ引き。「七面詣での女」押上村の最教寺には日蓮宗の守護神七面大菩薩がまつられているが、これを拝みに毎月十九日に江戸市中から多くの人が出かける。この七面詣で若い男を拾う女。「前を行く影」白山権現の神告げをネタに悪さを仕掛ける男。「面腫れ稲荷」文蔵とお新の夫婦は子どもができないのが悩み。そん中で男のお産が・・・。「走り女」腰物細工師の娘おふゆは、仕立て直しに出した一張羅が盗まれ、その袷を着ている女を見かけた。「女叫らせの薬」重箱とよばれる娼婦が、連れ込み宿で服を盗まれて裸のままで往生している。

カバーデザイン:辰巳四郎
(光文社文庫・580円・96/11/20)
購入日:1996/11/23
読破日:1996/11/29

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