2017年時代小説ベスト10 文庫書き下ろし部門


文庫書き下ろし時代小説の「時代小説SHOW」のベスト10を発表します。

対象は、奥付表記が2016年10月1日から2017年9月30日発行の時代小説作品(シリーズ)で、文庫書き下ろし作品になります。単行本の文庫化は対象外です。

順位タイトル著者出版社・レーベル
1位火喰鳥 羽州ぼろ鳶組羽州ぼろ鳶組 シリーズ今村翔吾祥伝社・祥伝社文庫
2017年に彗星の如く登場した新人作家のデビュー作「羽州ぼろ鳶組」シリーズ。対象期間中の作品は『火喰鳥』と『夜哭烏』の2作ですが、12月に第3作の『九紋龍』を含めて、火消小説という手垢が付いていないジャンルを開拓し、規格外の面白さで虜にします。臨場感豊かで迫力満点の火消シーン、羽州ぼろ鳶組の頭の松永源吾をはじめとする個性派ぞろいの火消組の面々が繰り広げる人情劇、スリリングなストーリー展開、いずれも一級品のエンターテインメント時代小説です。
2位半百の白刃(上) 虎徹と鬼姫半百の白刃(上・下) 虎徹と鬼姫長辻象平講談社・講談社文庫
半百(五十歳のこと)を前に江戸に出て、刀鍛冶を目指した長曽祢興里。興里の鍛えた刀に魅せられたのは、鬼姫の異名を持つ旗本の娘・邦香だった……。二人を軸に伝奇色豊かに物語は展開していきます。作刀シーンのリアルで精細な描写と相まって、日本刀の世界の奥深さに魅せられます。
3位舞う百日紅 上絵師 律の似面絵帖上絵師 律の似面絵帖 シリーズ知野みさき光文社・光文社時代小説文庫
第2作『舞う百日紅』が刊行(第3作『雪華燃ゆ』は2017年10月刊)。幼馴染みの涼太への想いを秘めて、上絵師として独り立ちを目指し、ひたむきに仕事に取り組む、ヒロイン・律。仕事のかたわら、母を殺めた辻斬りの行方を追います。仕事小説に捕物の要素も織り交ぜられた逸品です。
4位あきない世傳金と銀(三)奔流篇あきない世傳金と銀 シリーズ髙田郁角川春樹事務所・ハルキ文庫
『(三)奔流篇』と『(四) 貫流篇』の2巻が刊行。大坂天満の呉服商、五鈴屋のご寮さんとなった幸に新たな試練が訪れます。夫の惣次が店主の地位を放り出して姿を消します。幸は、持ち前の商才で、この危機を乗り越えられるのか、その動向からますます目が離せません。
5位鯖猫長屋ふしぎ草紙(三)鯖猫(さばねこ)長屋ふしぎ草紙(三)田牧大和PHP研究所・PHP文芸文庫
江戸の根津宮永町の「鯖猫長屋」は、人間より偉い猫サバが仕切る名物長屋です。美猫に魅了されつつ、謎解きと人情が堪能できます。
6位俺は一万石俺は一万石千野隆司双葉社・双葉文庫
十七歳の若者、竹腰正紀は、下総高岡藩井上家に婿入りすることになった……。ぎりぎり一万石の小大名家の婿として、足を引っ張る敵がいたり、小藩なりの苦労があったり、失敗を繰り返しながらも奮闘し、家臣や領民と徐々に心を繋げて藩政を立て直してゆくさまに胸が熱くなります。
7位風の市兵衛風の市兵衛 シリーズ辻堂魁祥伝社・祥伝社文庫
武州忍田での活躍を描く『18 待つ春や』、銚子湊で失踪した役人の謎を追う『19 遠き潮騒』、復讐の鬼と化した伊豆沖の女海賊と対決する『20 架け橋』の3巻が期間中に刊行されました。市兵衛の縁談や返弥陀ノ介の恋も描かれていて、お馴染みの市兵衛の痛快な活躍にアクセントを加えています。
8位影の火盗犯科帳(二) 忍びの覚悟影の火盗犯科帳 シリーズ鳴神響一角川春樹事務所・ハルキ文庫
『(二) 忍びの覚悟』と『(三) 伊豆国の牢獄』の2巻が刊行されました。火盗改役・山岡景之は甲賀の忍びの末裔でもあり、家臣で影同心をつとめる忍び「影火盗組」を結成し、火盗管轄の事件ではない悪辣な事件に立ち向かいます。ミステリアスで奇想天外な設定と、伝奇色に満ちた展開がたまりません。続編が待ち遠しいシリーズの一つです。
9位もののふ戦記―小者・半助の戦いもののふ戦記―小者・半助の戦い長谷川卓角川春樹事務所・ハルキ文庫
武田晴信(後の信玄)の壮絶な負け戦さ「砥石(戸石)崩れ」を小者の視点から描いた戦国時代小説。落ち武者狩りの追手を振り切り、傷を負った主人雨宮左兵衛を背負って、味方の地を目指して奮闘する小者半助の「もののふ」ぶりに目が釘付けになりました。
10位見破り同心 天霧三之助見破り同心 天霧三之助誉田龍一徳間書店・徳間文庫
質屋の三浦屋六兵衛が、離れで出刃包丁により惨殺された。南町奉行所臨時廻り同心天霧三之助は、探索に乗り出し、六兵衛の遺体の不自然さに気づいた三之助は、下手人像を絞り込み、追い込んでいきます。刑事コロンボを想起する三之助がユニークな、倒叙時代ミステリーです。

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