ジャンル

武家

山本一力さんと土佐藩

『いっぽん桜』に収録されている「萩ゆれて」は、天明七年(1787)の土佐藩を舞台にした短篇。作者の山本一力さんは、高知県出身ということで、土佐藩は生まれ故郷に題材を取った作品といえる。登場人物たちが鰹のたたきを食べるシーンが何ともうまそうだ...
市井人情

リストラ男と『いっぽん桜』

通勤の電車の中で、山本一力さんの『いっぽん桜』を読み始めた。山本さんというと、深川を舞台にした人情時代小説の名手として知られるが、表題作の舞台も深川である。主人公の長兵衛は門前仲町の口入屋(奉公人の斡旋業)井筒屋の番頭で、五十四の歳まで四十...
市井人情

進化・深化・親化する「慶次郎縁側日記」

北原亞以子さんの『隅田川』を読んだ。「慶次郎縁側日記」シリーズの第6弾にあたる本書。先に読んだ家族の評では「面白くなくなった」と聞き、「あれ? そんな筈は……」と思い、読み始めた。本書で描かれるのは、筆屋で万引きを繰り返す少年たち、商人の財...
剣豪

天然理心流と柳剛流

司馬遼太郎さんの『アームストロング砲』に、「理心流異聞」という天然理心流のことを書いた短篇が収録されている。天然理心流は、新選組の局長近藤勇が四代当主を継ぎ、土方歳三や沖田総司ら新選組の中核をなした人物を輩出したことで、現在よく知られている...
ミステリー

本能寺の変の新解釈

小泉首相の愛読書として、ベストセラーになった『信長の棺』は、やはり面白かった。桶狭間の合戦の謎から本能寺の変で信長の遺体喪失の謎までを、最新の信長研究に独自の解釈を加え、読みごたえのある作品になっている。成功の最大の要因は、「信長公記」の作...