残夢 密命・熊野秘法剣

残夢 密命・熊野秘法剣残夢 密命・熊野秘法剣
(ざんむ・みつめい・くまのひほうけん)
佐伯泰英
(さえきやすひで)
[剣豪]
★★★☆☆

お気に入りの「密命」シリーズの第11作目。江戸市中を騒がす火付け強盗の横行に、大岡忠相から金杉惣三郎に密命が下る! 今回も惣三郎の前に強敵が出現する予感が…。

サイドストーリーとして、車坂の石見道場の客分格の棟方新左衛門と、下野国茂木藩一万六千三百石細川家の江戸屋敷元締格久村護一郎の一人娘おりくの婚姻を描く。御前試合ベスト8の実力を発揮する新左衛門と惣三郎の友情がほほえましい。シリーズ物の魅力は、1冊ごとに脇役陣もクローズアップされるところだ。

金杉惣三郎は、五十歳すぎの初老の武芸者ながら、作品を重ねるごとにその剣術はますます精妙にして無敵になっていくところが凄い。何となく、A・J・クィネルの『燃える男』などの主人公クリーシィを思い起こさせる。勝手掛老中水野忠之のもとに剣術の稽古指導に出かけたり、大岡忠相の密命を帯びて八面六臂の活躍をしながらも、相変わらず火事場始末御用の荒神屋で帳付けのバイトを続けるという設定がいい。そのせいか、シリーズ中で火付盗賊が出てくる物語が多い。

ファンとしては、そろそろ武者修行中の惣三郎の長男・清之助が帰ってくるところが待ち遠しいところ。

物語●江戸に火付け強盗が横行する中、吉宗公の紀伊藩下屋敷が襲われた。お女中見習の十数人の少女が凌辱された上、焼き殺された。唯一の目撃者である鶴女は廃人同様に。金杉惣三郎が彼女を癒すべく、菊屋敷に預かるや、何者かに次々に襲われることに…。

目次■序章/第一章 火賊横行/第二章 鹿島出稽古/第三章 隠棲菊屋敷/第四章 力丸の魔力/第五章 熊野の滝勝負/終章/解説 細谷正充

カバーデザイン:中原達治
解説:細谷正充
時代:享保八年(1723)四月
場所:八丁堀、大川端、車坂、富岡八幡宮、芝七軒町、入舟町、鹿島、北新網町、南町奉行所、飛鳥山、王子稲荷、柳原土手、回向院、芝片門前町ほか
(祥伝社文庫・590円・04/10/20第1刷・336P)
購入日:04/10/29
読破日:04/10/31

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