おせちのような時代小説集

寒いッ!! 本当に寒い日が続きますね。雪国生まれで寒さには強いはずなのですが、やっぱりこの寒さは想定外。福井県では高齢者を狙った悪質な雪かき業者が横行しているそうな。気をつけてください。

新潮文庫から出たアンソロジー集『時代小説 読切御免 三』を読んだ。このシリーズは、毎回、第一線で活躍されている時代小説の書き手の短篇ばかりを集めている。扱っている時代もテーマもバラバラだが、正月のおせちのようにいろいろな味がちょっとずつ楽しめる。中江克己さんのコラムがついていてまとまり感もある。

今回のラインナップは、以下の通り。

宮部みゆきさん「十六夜髑髏」

火事でふた親と弟を一度に失ったふきは、米屋の小原屋に上がったが、四代続く、その店には先輩の女中の話では、気味が悪いことがあるという…。『堪忍箱』にも収録されたホラー時代小説。

高橋克彦さん「絞鬼」

陸奥の鎮守府将軍・小野春風は、都から派遣された陰陽師・弓削是雄を苦々しく思っていた…。『鬼』にも収録された平安時代を舞台にした短篇。

東郷隆さん 「墨染」

伏見街道の墨染で、近藤勇を襲撃した高台寺党の阿部十郎を描いた幕末小説。

宮本昌孝さん 「蘭丸、叛く」

森蘭丸は、信長に特別扱いされる小姓小倉松千代に嫉妬していた。あやしい三者の関係は…。『春風仇討行』に収録された戦国小説。

杉本章子さん 「はやり正月の心中」

「はやり正月」とは、年頭から災害が続く年の六月一日にあらためて正月を迎えて縁起直しをする行事。物語では、文化十一年の「はやり正月」を迎えた吉原の遊廓が舞台になっている。

高橋義夫さん 「苦界 野ざらし仙次」

渡世人の仙次は、加曽利宿の丸勘親分のもとにわらじを脱ぎ世話になっていた。その丸勘親分が対立する生玉の浅右衛門の用心棒の緒方重三郎に殺され、仇を討つことになる…。股旅もののエッセンスが味わえる。

津本陽さん 「天吹」

薩摩藩の剣法といえば、東郷重位(とうごうしげたか)の創始した示現流が有名。島津家のお家流で上士が学んだ示現流に対して、下士が学んだのが薬丸自顕流(やくまるじげんりゅう)である。薬丸自顕流は、重位の門弟の薬丸刑部左衛門兼陳(やくまるぎょうぶざえもんかねのぶ)が先祖伝来の野太刀流を加味して創始したもの。この短篇では、薬丸自顕流と関ヶ原合戦で敵中突破した薩摩武士のエピソードを綴っていて興味深い。

時代小説―読切御免〈第3巻〉 (新潮文庫)

時代小説―読切御免〈第3巻〉 (新潮文庫)

堪忍箱 (新潮文庫)

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鬼 (ハルキ文庫)

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春風仇討行 (講談社文庫)

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