2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

武家

市井人情

九千五百石の旗本とは

千野隆司さんの『冬花火』を読む。「本所竪川河岸瓦版」シリーズの第一作。主人公の横田筑前守真行は、九千五百石の旗本の当主で、三千石高の御鉄砲百人組の頭という設定。旗本は、将軍に御目見えができる家臣で、旗本八万騎と呼ばれるが、実数は二万三千人あ...
剣豪

一伝流vs.一放流

上田秀人さんの『相剋の渦』を読んだ。勘定吟味役・水城聡四郎が活躍する「勘定吟味役異聞」シリーズの第4弾である。前作『秋霜の撃』で新井白石から忌避されるようになった聡四郎。後ろ盾を失った聡四郎がいかなる活躍ぶりを見せるかが本編の最大の関心事の...
武家

浅野内匠頭夫人から描く忠臣蔵

湯川裕光さんの『瑤泉院 忠臣蔵の首謀者・浅野阿久利』を読み始めた。『瑤泉院 三百年目の忠臣蔵』のタイトルで、1998年10月に新潮社より刊行された作品が、文庫化に伴い改題したもの。瑤泉院は、浅野内匠頭長矩の夫人阿久利(あぐり)が長矩切腹後に...
伝奇

東北の藩を舞台にした時代小説

高橋義夫さんの『かげろう飛脚』を読んだ。単なる御家騒動ものに終わらず、武士としての生き様を描いていて面白かった。主人公の鬼悠市の活躍ぶりも見ものだが、悠市に密命を下す奏者番の加納正右衛門、悠市の上司ながら形ばかりで秘事を知らされていない足軽...
武家

「無茶の勘兵衛」シリーズ第二弾

浅黄斑さんの『火蛾の舞』を読み始めた。『山峡の城』に続く「無茶の勘兵衛」シリーズの第2弾である。浅黄さんはミステリー畑の人だが、このシリーズの前作や『芭蕉隠密伝―執心浅からず』などの時代小説も気に入っている。主人公のキャラクター造形がしっか...