ジャンル

市井人情

「かわせみ」の江戸も残りわずか

平岩弓枝さんの『小判商人』を読んだ。『新・御宿かわせみ』と題して明治編が始まったが、「御宿かわせみ」シリーズの33作目で江戸編で文庫化されていないのは『浮かれ黄蝶』を残すばかりとなった。一つの時代の終わりが近づき、何とも言えない淋しさがある...
市井人情

「様子のいい大人」が続々登場する時代小説

山本一力さんの『峠越え』を読んだ。文庫版の帯に、“「様子のいい大人」が続々登場”というキャッチコピーが書かれている。山本さんの作品の魅力の一つが、「様子のいい大人」が登場することだ。「様子のいい大人」とは、仲間が辱められようとするとためらわ...
捕物

江戸歌舞伎に題材をとった捕物帳

近藤史恵さんの『にわか大根』を読んだ。『巴之丞鹿の子』『ほおずき地獄』に続く、江戸歌舞伎の町猿若町の芝居関係者が頻繁に登場する捕物小説「猿若町捕物帳」の第三弾である。前2作が長篇だったのに対して、今回は連作形式で「吉原雀」「にわか大根」「片...
剣豪

貧乏剣術道場の師範代の日月抄

乾荘次郎(いぬいそうじろう)さんの『介錯』を読む。『妻敵討ち』『夜襲』に続く、貧乏剣術道場・柳花館の師範代・高森弦十郎が活躍する人情時代小説「鴉道場日月抄(からすどうじょうにちげつしょう)」シリーズの第三弾である。介錯 鴉道場日月抄 (講談...
捕物

「SP」を想起させる江戸捕物帳

「SP(エスピー)」(岡田准一さん主演)は最近珍しくハマッたテレビドラマだった。4月に放送されるスペシャル番組が待ち遠しいところ。千野隆司さんの『霊岸島の刺客』は「南町同心早瀬惣十郎捕物控」シリーズの第5弾だが、今回はまさに江戸のSPともい...