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もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ

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もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ
もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ
(もののけほんじょふかがわじけんちょう・おさきえどへ)
高橋由太
(たかはしゆた)
[ファンタジー]
★★★★☆

タイトルの「オサキ」がずっと気になっていたが、なかなか読む機会がなかった。 “『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』を読むまでは知らなかったが、オサキとは日本に伝わる狐の姿をした憑きもの、御先狐(おさきぎつね)のこと。

 よく人に憑くといわれている動物に、“オサキ”と呼ばれるものがある。「どんな動物なのか」とこれを見た者に聞いてみると、
「鼠よりは大きく、茶、茶褐色、黒、白、ブチなどいろいろな毛並みをしており、耳が人間の耳に似ていて、四角い口をしている」
 という。
(『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』P.23より)

説明を読むとそれほどかわいいとは思えないが、この作品に出てくるオサキは、どこからみても白狐で、人間の耳も四角い口もしていない。雪のような白銀色の毛並みをして、尾は二つに裂けている。普段は白い豆粒くらいの大きさで、周吉の懐に入っていて、いつも周吉に話しかけてくるが、その言葉は他の人には聞こえない。

ポケモンみたいで、大好物の升屋さんの油揚げを食べるシーンなど、その登場するシーンはほほ笑ましい。

主人公のオサキモチ(オサキに憑かれている人のこと)周吉は、本所深川の献残屋の手代。周吉とオサキ(妖狐)のコンビで謎に立ち向かう。畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズに通じる面白さがある。

周吉は、オサキモチだけに、普通の人が持っていない、

『オサキ江戸へ』はシチュエーションを見ていくと、辻斬り、殺人、失踪ありの、怪奇現象ありの、怪異系の捕物小説だが、オサキと周吉の漫才風なボケツッコッミの掛け合いや、一風変わった登場人物たちによって、楽しいファンタジーに仕上がっている。

続編の『オサキ鰻大食い合戦へ』も続けて読みたい。

物語●このところ、本所深川では、暗闇から槍を持った男が飛び出してきて、いきなり通行人を突き殺す、槍突きがはやっていた。そこで防犯のため夜回りをはじめた、献残屋の鵙屋の手代でオサキモチの周吉は槍突きに出会った。しかし、槍突きは一人ではなく、九人、十人と群れをなして、周吉を襲ってきた…。

目次■一 鬼寺/二 お稲荷さま/三 槍突き/四 泣かされたお琴/五 やり手の手代/六 夜祭り/七 冬庵/八 消えたお琴/九 蜘蛛ノ介の夜歩き/十 ふたりの韋駄天/十一 太夫さま/十二 捕らえられた鬼/終 真相/解説 大森望

カバーデザイン:藤牧朝子
イラスト:山田タクヒロ
本文DTP:株式会社明昌堂
解説:大森望
時代:田沼意次の時代
場所:本所深川の朱引き通り
(宝島社文庫・476円・2010/05/25第1刷・2010/07/08第3刷・283P)
購入日:2011/06/28
読破日:2011/07/07

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