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サイバー特捜隊、チーム崩壊の危機を救えるのは夏希か!?

『脳科学捜査官 真田夏希 サイレント・ターコイズ』|鳴神響一|角川文庫

脳科学捜査官 真田夏希 サイレント・ターコイズ鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし現代ミステリー、『脳科学捜査官 真田夏希 サイレント・ターコイズ』(角川文庫)を紹介します。

本書は、心理分析官、真田夏希が難解な事件に遭遇して活躍する警察小説「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズの第15弾です。前作の第14弾より、神奈川県警から警察庁サイバー特別捜査隊に所属を移して、さらにパワーアップしています。

時代小説の紹介でなくて恐縮ですが、大好きなシリーズの最新刊ですのでご容赦くだされ。

警察庁サイバー特別捜査隊の真田夏希は、自宅のコミュニケーション・ロボットの不気味な動作を体験した。リクエストと異なる暗い音楽を流しはじめ、不吉な言葉を発したのだ。サイバー特捜隊の本部にも、同様の現象が報告されており、クラッキングの可能性が浮上する。さらに、アルマロスと名乗る者から犯行声明が――。企業を狙った犯罪か、特捜隊への挑戦なのか。夏希たちは、特捜隊の威信にかけて操作を開始するが……。

(本書カバー裏紹介より)

さわやかな初夏の朝、朝食の支度を始める夏希。数日前に友人からプレゼントされたコミュニケーション・ロボット≪歌いーぬ≫に朝にぴったりの明るくかるいフレンチ・ポップをリクエストしました。

リクエスト通りに明るくかるい曲が流れ続けていると、突然暗い旋律の沈んだ曲が流れはじめて、曲が止まると≪歌いーぬ≫は「あなたの明日は暗い雲で覆われる」という不吉な言葉を発し続けました。

夏希は、原因がわからずに不快感が尾を引き、どんよりとした気分でサイバー特別捜査隊の汐留庁舎に出勤しました。

九時半頃に、隊長の織田信和が主催する特捜隊のミーティングが開催されました。

「我々が取り組まなければならない、あらたな事件が発生しました。けさ、七時五分頃、全国でオーディオメーカー、サウンドウィンド社製のコミュニケーション・ロボットである≪歌いーぬ≫がいっせいに異常動作をみせました」
 織田は静かな声で口火を切った。
「えっ!」
 夏希は驚きの声を上げた。

(『脳科学捜査官 真田夏希 サイレント・ターコイズ』P.18より)

出席者の皆が夏希に注目する中、夏希は朝起きた不思議で異常なできごとをなるべく冷静に説明しました。

≪歌いーぬ≫の異常動作は、何者かによるクラッキングによるサイバー犯罪で、アルマロスと名乗る犯人から、警察庁宛に犯行声明も届きました。

「犯人がアルマロスという堕天使を名乗った理由がなんとなくわかるような気がしてきました」
 夏希はぽつりと言った。
「どういう理由なんですか」
 織田が声に期待をにじませた。
「アルマロスは魔法使いをいかに無効にするかを人間に教えたんですよね」

(『脳科学捜査官 真田夏希 サイレント・ターコイズ』P.49より)

特捜隊の捜査が遅々として進まない中で、第2、第3の事件が起こりました。

身代金を請求しない犯人の狙いは何のでしょうか?
会社に恨みがあり、その信頼を貶めるためなのでしょうか?
インターネットなしには生きられない我々への警鐘なのでしょうか?

身近になったIoT機器が犯人の標的となり、SNSで被害の状況が拡散され、結果を出せない特捜隊への不満や不信感も高まり、国民から特捜隊なんて解散しろという声も聞こえてきました。

絶体絶命の危機に立ち向かう特捜隊……。

身近なスマートスピーカーなどのIoTツールや、人の代わりに働くAIロボット、われわれが便利に使っているインターネット機器が突如暴走する、考えてみただけで背筋がぞっとします。

歴史時代小説の名手である著者が放つ人気警察小説シリーズ。
今どきのテーマを扱い、夏希の心理学の知識を生かしながらも、地道な警察捜査と組み合わせて、犯人を追いつめていくスリリングな展開に最後まで目が離せません。

今回も戦国武将にちなんだ登場人物名だけでなく、ツィンクルや《歌いーぬ》など、物語に出てくる会社名、ツール名などディテールの命名が秀逸で、違和感なく物語になじめました。

脳科学捜査官 真田夏希 サイレント・ターコイズ

鳴神響一
KADOKAWA 角川文庫
2023年1月25日初版発行

カバー写真・デザイン:舘山一大

●目次
第一章 きざし
第二章 暴走
第三章 聞き込み
第四章 決断

本文292ページ

文庫書き下ろし

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『脳科学捜査官 真田夏希』(鳴神響一・角川文庫)(第1弾)
『脳科学捜査官 真田夏希 イリーガル・マゼンタ』(鳴神響一・角川文庫)(第14弾)
『脳科学捜査官 真田夏希 サイレント・ターコイズ』(鳴神響一・角川文庫)(第15弾)

鳴神響一|作品ガイド
鳴神響一|なるかみきょういち|時代小説・作家 1962年、東京都生まれ。中央大学法学部卒。 2014年、『私が愛したサムライの娘』で第6回角川春樹小説賞を受賞してデビュー。 2015年、同作品で第3回野村胡堂文学賞を受賞。 ■...