2024年1月30日(火)19時から、東京・下北沢のB&B本屋で行われた、小説家の伊藤尋也(いとうひろや)さんと小説家で編み物作家の横山起也(よこやまたつや)さんの対談を生で観てきました!(2024年2月29日までアーカイブ配信あり)
お二人は、第12回日本歴史時代作家協会賞文庫書き下ろし新人賞を同時受賞されました。受賞作は、伊藤尋也さんは『土下座奉行』(小学館文庫)、横山起也さんは『編み物ざむらい』(角川文庫)です。
キャッチ―でユニークなタイトルで受賞した二人は、「小説家の伊藤尋也です。編み物と土下座でいうと、土下座のほうです」「編み物のほう(の横山)です」と、登場のつかみもバッチリで、早くも会場を和ませました。
昨年10月の表彰式イベントで初対面のお二人はすぐに意気投合し、シリーズ第2作の刊行に合わせて、今回のイベントにつながったと。元出版社の名編集者で、単行本の新人賞を『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』で受賞し、同じイベントに参加されていていた、羽鳥好之さんからも「ぜひやったらいいですよ」とトークショーを勧められたとも。
色物のようなタイトルですが、中身は上質のエンターテインメント時代小説で、新人賞を受賞した両者が、小学館とKADOKAWAという出版社の壁を越えて実現した、今回のイベントは、リアルのほかにも、オンライン配信も行われていました。
ライトノベルを書かれていた伊藤さんは、子どものころから時代劇に馴染み、親が読んでいた司馬遼太郎や池波正太郎などの時代小説をよく読んでいたと。
『編み物ざむらい』の最初のページにも掲載されている、ヒゲを生やした武士が編み物をしているイラスト。横山さんが、仕事で出かけたナイガイの靴下博物館でその絵を見たときに、これは面白い!と雷が落ちたような衝撃を受けたと。担当者に聞いたら資料がないということで、それで調べて書くことになったとおっしゃっていました。
その後、第2作、伊藤尋也さんの『土下座奉行 どげざ禁止令』と横山起也さんの『編み物ざむらい(二) 一つ目小僧騒動』の紹介やキャラクター造形など創作術を披露されました。
二つのシリーズはほぼ同時代(『編み物ざむらい』のほうが5年ほど後)なので、それぞれの登場人物を互いの作品に登場させたらという話で大いに盛り上げりました。
第3作以降の話(その後変わるかもしれませんが)もどこよりも早く聞くことができて、ちょっと得した気分です。
お二人のキャラクターもあって、終始笑いの絶えない、本好きには堪らない濃密な時間。
縦横無尽に語り合い、漫才の掛け合いの中で、お互いの創作の秘密が次々に明らかにされていき、楽しくも有益な時間を過ごすことができ、ますますお二人のファンになりました。
伊藤さんからのまさかの編み物、アランセーターの話。
坂田靖子さんのマンガで知ったという、エピソードが気になり、読んでみたくなりました。
■今回取り上げた本