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草笛の音次郎

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草笛の音次郎草笛の音次郎

(くさぶえのおとじろう)

山本一力

(やまもといちりき)
[股旅]
★★★★☆☆

山本一力さんの股旅小説。市井物のイメージが強い作者と股旅物がどう結び付くのか興味津々。主人公の渡世人の若者、音次郎に共感を持ちながら、その成長ぶりに心が満たされていった。読了後も爽快感が残った。悪事を働いてやむなく渡世人になったのではなく、自ら飛び込んでいったこともあり、音次郎のもつ明るい性格や礼儀正しさ、人への温かい思いやりなどが、作品全体を明るく爽やかにしているのだろう。

そんな音次郎は、旅先で試練に遭っても、持ち前の知恵と仁義と、器量のある大人たちに助けられて、何とか乗り越えていく。そしてその都度、健全なる成長ぶりを見せてくれる。最初は、渡世人の言葉遣い一つ満足にできず、大金を持った初めての一人旅が、TV番組の「はじめてのおつかい」状態で、ハラハラドキドキものなのだが……。

ブログ◆
2006-04-23 ピカレスクでなく、爽快な股旅小説

物語●音次郎は、深川黒江町に母およしと二人暮らしで、渡世人稼業でありながら、今戸に住むやくざの親分芳三郎のところに通いを続けていた。その音次郎が、親分の恵比須の芳三郎の名代として、佐原宿を仕切る貸元の小野川の好之助のもとに派遣されることになる。百両の大金を懐に、これが初旅となる音次郎は、成田、佐原への旅に出るが……。

目次■のろ/回り兄弟/しべら/助け出方/すべりどめ/まるい海/解説 関口苑生

装画:深井国
装丁:斎藤深雪
解説:関口苑生

時代:天明八年(1788)一月八日

(文春文庫・629円・06/04/10第1刷・453P)
購入日:06/04/21
読破日:06/04/23

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