誰そ彼れ心中

誰そ彼れ心中誰そ彼れ心中
(たそがれしんじゅう)
諸田玲子
(もろたれいこ)
[恋愛]
★★★★☆☆

今、脂が乗り切った活躍を示す女性作家の一人、諸田さんの最新文庫。

海外小説ではよくあるのに、時代小説では珍しい、ラブサスペンス。手に汗を握りつつ、ページを繰るのがもどかしく感じながら一気に読了した。一見、シンプルなストーリー構成ながら、ラストまで読者の興味を逸らさない作者の筆力に脱帽。

ヒロインの瑞枝をとりまく人物が面白い。六歳年長の夫・宗太郎、病に臥す舅・義興、姑・須磨、宗太郎の姉で出戻りの初子、用人・林源太郎ら、小禄の出の瑞枝を軽んずる向坂家の人々。四面楚歌の状態で追いこまれて行くヒロイン。人形のような奥様から、一人の女性へと自我が芽生えて行く。高まる緊張感のなかで、草花が潤い感と色彩感を物語に与える。

物語●禄高百俵の御家人の家から、四百石の旗本・向坂家に嫁いで四年目になる瑞枝は、ある朝、十八歳になる小者の小十郎に呼びとめられた。殿さまが最近、妙だという。瑞枝の夫・宗太郎は、家督相続し、書院番を務めるようになり、寡黙になり、二ヵ月ほど書見に励み、妻を抱くことがなかった。夫は別人に変わったのだろうか? と、疑念が湧くとともに、身分違いの小十郎に不思議なときめきを覚え始めた…。

目次■なし

カバー装画:ゴトウヒロシ
デザイン:新潮社装幀室
解説:宇江佐真理
時代:天保八年(1837)
場所:浅草御蔵近く、上野、平河御門、神田佐久間町、上野南大門町、下谷長浜町、下谷六軒町、三味線堀ほか
(新潮文庫・590円・03/10/01第1刷・412P)
購入日:03/10/17
読破日:03/11/17

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