『傑作! 名手たちが描いた 小説・鎌倉殿の世界』の解題を担当しました。

芋奉行 青木昆陽

芋奉行 青木昆陽
芋奉行 青木昆陽
(いもぶぎょう あおきこんよう)
羽太雄平(はたゆうへい)
[武家]
★★★★

青木昆陽の名前は、小学校の頃に何かの本で読んだのだが、その当時なぜ、サツマイモの栽培をすることが偉いことなのかわからなかった。まあ、江戸時代の偉人のはずなのだが、時代小説に描かれることはほとんどなかった。

本編はその昆陽さんが主人公なのだが、四十過ぎで独り者で、これがいたって風采があがらない。顔は天然痘の発疹のあとがブツブツ残り、里芋や山芋に似ていて、そのためにも「いも先生」と呼ばれている。

その「芋奉行」と、古書探しの旅に出る相棒が、御庭番の村垣左吉と、旗本の用心の次男坊で剣の名手、松浦慎次郎だ。道中での三人の掛け合いが楽しい。

物語●青木文蔵(昆陽)は、大岡越前守忠相に認められ、甘藷(さつまいも)の栽培に成功した。町人(魚問屋の倅)から学者、公儀の役人に出世し、人々は彼を「甘藷先生」とか「芋奉行」と呼んでいた。今回、文蔵が大岡忠相に新たに命ぜられた仕事は、諸国に埋もれた古書、古記録、古文書の類を探すことだった。紙魚のような書物好きの文蔵には願ってもない務めなのだが…。

目次■蜜の味/草鞋を履いた花嫁/碁石金/目隠し観音/三日血川/甲州遺金/阿蘭陀いろは

装幀:熊谷博人
装画:堂昌一
時代:元文五年(1740年)
舞台:外神田・井伊兵部小輔上屋敷、日野、八王子ほか。
(光文社・1720円・97/5/30第1刷・279P)
購入日:97/12/28
読破日:98/1/15

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