2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

幕末維新

女性

幕末維新の混乱を描く短篇

牧南恭子さんの『女泣川花ごよみ』を読了。新鋭作家の時代小説作品集だが、期待に違わず面白く読める短篇ばかりだった。「塩なめ地蔵」三十年ぶりにかつての教え子が突然現れ、寺子屋の師匠の胸に去来した思いは……。「田楽屋敷」田楽屋敷と呼ばれる上屋敷の...
女性

市井小説には深川が似合う

牧南恭子さんの『女泣川花ごよみ』を読んでいる。深川を東西に流れる小名木川沿いに暮らす人々を描いた八編の短篇を収録した作品集である。初めて読む作家の方なので、どんな展開になるのか手探りで読み進めている。「花筏(はないかだ)」中川船番所の下役人...
幕末維新

桜田門外の変と仇討ち

浅田次郎さんの短篇に、「柘榴坂の仇討」(『五郎治殿御始末』収録)がある。桜田門外の変によって、人生が大きく変わった二人の武士の明治維新後を描いた作品である。ちなみに柘榴坂(ざくろざか))は、高輪にあった久留米藩下屋敷と薩摩藩下屋敷の間の坂道...
幕末維新

明治の改暦と西洋定時法

浅田次郎さんの『五郎治御始末』に収録された短篇「西を向く侍」と「遠い砲音」は、明治五年から明治六年にかけて行われた旧暦(太陰太陽暦)から西洋暦(グレゴリオ暦)への改暦と、西洋定時法採用をテーマにした作品である。知識としては、明治初年に旧暦か...
幕末維新

維新前後と浅田次郎作品

浅田次郎さんの『五郎治殿御始末』を通勤電車の中で読み始めた。浅田さんの作品を読むのは、『壬生義士伝』以来だが、文章を読んでいるうちに、その世界にどっぷり浸れていい。この短篇集には、明治維新という激動期に、自らの誇りにかけて、武士の時代に幕を...