経済

市井人情

江戸の人にもお金は大事

『万事金の世』を読み終えた。お金をテーマにした悲喜劇を描いた時代小説のアンソロジーである。この本に収録された作家のラインナップに妙味がある。活躍が目覚しい現役作家から、故人になられた作家まで、バランスがいい。万事金の世―時代小説傑作選 (徳...
江戸

棄捐令をテーマにした時代小説

山本一力さんの『損料屋喜八郎始末控え』を久々に読み返した。深川を描いた名作をピックアップしていて、本を取り出して読み始めたら面白くて、つい最後まで読んでしまった。この作品は、山本さんの初の長篇時代小説であり、単行本刊行当時(2000年5月ご...
ユーモア

現代の戯作者が描く、紀文立志伝

米村圭伍さんの『紀文大尽舞』を読み終えた。花のお江戸で女だてらに戯作者(江戸時代の小説家)を目指す、湯屋真砂湯の娘・お夢。蜜柑(みかん)船で一夜にして財をなした豪商紀伊国屋文左衛門(紀文)の一代記を書くために、その跡を追い回した。紀文に吉原...
ユーモア

紀伊国屋文左衛門とみかん伝説

米村圭伍さんの『紀文大尽舞』を読み始めた。「沖の暗いのに白帆がみえる あれは紀の国蜜柑船」と、カッポレの唄にも歌われた、紀伊国屋文左衛門のみかん伝説が紹介されていた。貞享二年(1685)の秋、紀州有田は、例年になくみかんが大豊作だった。収穫...
幕末維新

井伊直弼と近江商人

幸田真音さんの『あきんど 絹屋半兵衛』(上・下)を読了した。読み始める前、単行本刊行時のタイトル『藍色のベンチャー』のままのほうがいいのではないかと思っていたが、最後まで読んでみると、改題した訳が納得いった。幸田さんは、『小説ヘッジファンド...