時代小説●文庫新刊情報|2025年12月上旬の新刊(1日→10日)
2025年12月1日から12月10日に文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。おすすめの新刊の紹介文は、Amazonの内容紹介より抜粋・編集しています。各タイトルの詳細はAmazon.co.jpの紹介ページからご覧いただけます。
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文春文庫
野口卓さんの『船遊山 江戸切絵図恋暦』
江戸の町に生きる男と女の、切ない出会いと別れを細やかに紡ぐ物語です。
両国で川開きの花火が上がった夜、料理屋の奉公人・民恵は、初めて船遊山を楽しみます。
その時に出会った桔梗屋の若旦那から、三か月後に思いがけない申し出を受けることになるとは、夢にも思っていませんでした。(「船遊山」)
元岡っ引の与助は、呑み屋「しのぶ」の女将が二十年前に取り逃がした盗賊の一味ではないかと疑い、客として足しげく通います。ある日、ときおり見かける老人から声をかけられ……。(「悔やむ男」)
浅草寺の四万六千日さまの功徳日に、若い夫婦が子どもの小さな手を握りながら語った、十二年前の出来事。(「四万六千日さま」)
文春文庫で野口卓さんが書き下ろすシリーズは、「ご隠居さん」シリーズ以来、約10年ぶりとのことで、とても楽しみです。
宮本 紀子さんの『あらたな門出 煮売屋お雅 味ばなし』
嫁に行くのか。それとも料理人として生きるのか――。
お雅の右腕・お妙に、大きな決断のときが訪れます。
料理茶屋で生まれ育ったお雅が営む、持ち帰りのお菜をたっぷり揃えた「旭屋」。見世を始めて三年目となり、お雅は新しいお菜に挑戦したり、身重のおかみさんに合う食事を拵えたりと、忙しい日々を過ごしています。そこへ、お妙に嫁入りの話が舞い込み――。
人情と温かいお菜が心に沁みる、傑作時代小説シリーズ。いよいよ大団円の最終巻です。
最終巻を迎えるのは寂しいですが、どのような結末が待っているのか、とても気になります。
潮文庫
髙橋直樹さんの『豊臣秀長 我、日輪の柱たらん』
戦国乱世では、権力のために親兄弟ですら容赦なく排除されます。
主君・織田家の家督相続をめぐり、目の前では骨肉の争いが繰り広げられていました。
「おれたち兄弟は“馬の骨”でよかった」――。
やがて兄・秀吉は関白として権力を手にし、「日輪の子」と称される存在へと変貌していきます。
そんな兄を、陰となり日向となり支え続けた“生涯二番手”の男・秀長の物語です。
大河ドラマでも注目を浴びる豊臣兄弟。
この機会に、豊臣家を描く時代小説がさらに増えてほしいと願っています。
鷹井伶さんの『てきてき 浪華のおなご医師と緒方洪庵 縁』
男性中心の医療の世界で、女性が道を切り開いていく姿を描く、幕末・大坂を舞台とした医療時代小説の第2弾です。
目指すべきは「医師の道」。
女だからこそ寄り添える痛みや気持ちがある――。
大坂・適塾で、亜弥は医師としての「己の適(さだめ)」を見つけることができるのでしょうか。
緒方洪庵は、時代小説でも意外に登場の多い人物です。
時間のあるときに、その描かれ方をじっくり調べてみたいと思います。
文芸社文庫
阿岐有任さんの『蔵人匡房の一番長い日 後三条帝御即位記』
出自には恵まれていないものの、自身の努力によって蔵人にまで出世した大江匡房は、帝からの信任も厚い28歳の青年です。優れた頭脳を駆使し、官僚として日々の務めを実直にこなしています。
そんな匡房が任されたのは、天皇の一世一代となる御即位礼。絶対に失敗が許されない大仕事です。次々と起こる予期せぬ出来事をうまく捌き、この長い一日を無事に終えることができるのでしょうか。
宮中を舞台にした、平安官僚たちの奮闘を描く物語です。
文芸社文庫でしか読めない、私のお気に入りの平安小説です。
PHP文芸文庫
細谷正充 編さんの『えどぐらし 〈市井〉時代小説傑作選』
世知辛くもあたたかく、お節介だけれどありがたい――。
人生の岐路に立つ江戸っ子たちの喜怒哀楽を描いた、味わい深いアンソロジーです。
「青雲」(朝井まかて)
貧乏御家人の三男・真吾は口減らしのため酒問屋に奉公に出ていましたが、兄二人が亡くなり、思いがけず家督を継ぐことになります。酒問屋の仕事にやりがいを感じていた真吾は複雑な思いを抱きながらも、「小普請組」への就職を目指して面談に通い始めますが……。
「夫婦千両」(中島要)
姉さん女房のお浜は、夫の伊八が長屋の差配人から富札を買ったと知り、無駄遣いだと怒ります。ふてくされた伊八は長屋を飛び出してしまい、仲直りを望むお浜もまた富札を買うことに。しかし、その富札がなんと千両の大当たりとなり……。
そのほか、高田在子、三國青葉、木内昇の実力派5名による短編を収録しています。
光文社文庫
篠 綾子さんの『お狐様始末 緋桜左膳よろず屋草紙(三)』
八丁堀にあるよろず屋〈玄武〉に、常連客の山村数馬が頼みごとを抱えて訪れます。山村は八丁堀に屋敷を構える旗本で、〈玄武〉の主・高槻左膳、柏木右京、そしておちかと親しくしており、北町奉行の婿という立場でもあります。
山村の屋敷地内に建つ長屋には、柏木右京も住まわせてもらっていますが、その長屋の周辺に、身なりの怪しい者たちがうろつくようになり、店子たちが不安がっているとのことでした。浪人風の者、奉公人風の者など複数人が確認されているといいます。
どうやら長屋には、かつて医者であったという店子が住んでおり、その人物の素性が知れないことが、騒ぎの原因となっているようです。山村はその素性を調べてほしいと〈玄武〉へ依頼します。しかも、左膳たちはこの元医者とは以前の騒動で接点があり、ぜひ接近したい事情も抱えていました。
天皇と女院に仕えていた者たちが江戸で営む「よろず屋」。
剣の遣い手・高槻左膳、陰陽師の家の出・柏木右京、そして元女官のおちか――。
この三人が、江戸で巻き起こる摩訶不思議な事件に立ち向かいます。
大きな事件の気配が漂いはじめ、三人が核心にどこまで迫れるのか……気になる第3巻です。
双葉文庫
井原忠政さんの『三河雑兵心得【十七】-関ケ原仁義(下)』
ついに東軍総大将・家康が着陣します。戦功を競う猛将たちを抑えるのに四苦八苦していた茂兵衛は、その雄姿に胸をなで下ろします。
一方、西軍も三成が二万の兵を率いて大垣城を発ち、関ケ原へと進軍。いよいよ決戦の舞台が整いました。
そんな折、茂兵衛は井伊直政から「家康の四男に抜け駆けで先陣を切らせたい」と耳打ちされます。東軍の本来の先鋒は福島正則であり、騒動は避けられず、一つ間違えば血の雨が降る無謀な策。茂兵衛は頭を抱えるばかりです。
戦国足軽出世物語、天下分け目の第十七弾!
クライマックスに突入した茂兵衛の奮闘から、目が離せません。
千野隆司さんの『おれは一万石(35)-武門の商船』
藩をあげての必死の対策により、国許に蔓延していた疫病もようやく収束の兆しを見せた高岡藩井上家。米の収穫も無事に終わり、江戸へ運ぶため濱口屋の船を見送った正紀たちは、新たな金策として「船を借りて荷を輸送する」という案を思いつきます。
早速、荷主集めや船の手配に奔走する正紀たちでしたが、江戸に到着するはずの濱口屋の船が消息を絶ったとの報せが舞い込み──。
大人気シリーズ第35弾!
次々と井上家を巻き込む騒動。今回はついに自ら火中に飛び込むことになります。
横山起也さんの『針ざむらい』
神田鍛冶町で「針研ぎ かぐら」を営む浪人・糸原佐武郎。その研ぎの技は類まれで、今では小間物問屋の大店からも注文が絶えないほどの腕前です。
実は佐武郎は江戸へ出る前、広島藩の徒目付としてたたら場に出入りし、鉄の扱いに通じていました。しかし、無二の親友・黒部新右衛門から“あるもの”を託されたことをきっかけに、佐武郎の運命は奔流へと巻き込まれていきます。
針をよすがに己を磨き、敵へと立ち向かう――。
血沸き肉躍る、新感覚の時代活劇が誕生しました!
今度の侍は「針」ざむらい。
とはいえ、編み針や縫い針ではなく、革や畳などの厚く硬いものを突き通すための針です。
徳間文庫
坂井希久子さんの『髪結いお照 晴雨日記 娘心中』
お上から禁じられた女髪結いを続ける代わりに、お奉行様の手下として働くことになったお照。女ならではの視点を求められ、永代橋で見つかった骸を検めるよう命じられます。
そこでお照が目にしたのは、心中した娘三人の骸でした。
彼女たちが揃いの品を身につけていたことに違和感を覚えたお照は、髪結いの弟子・雨吉とともに聞き込みを始めますが……。
奇妙な心中事件の真相に迫る、女髪結いの〈スパイ×謎解き〉シリーズ第2弾です!
馳月基矢さんの『深川ふるさと料理帖五 輪島屋おなつの船出のこんだて』
おなつがふるさと横丁の「輪島屋」で働きはじめて四年。
許婚の丹十郎とともに故郷・輪島へ帰る日が近づいていました。
婚礼を控える従弟・紺之丞に振る舞った鯛の唐蒸し、新しく輪島屋に入った羽苗が作ったささがれい――。
大切な人との別れに涙をこらえながら、おなつが輪島屋に立つ最後の一日がやってきます。
「またね、江戸。 ただいま、輪島。」
お江戸の郷土料理シリーズ、堂々の完結編です。
最近、大好きな時代小説シリーズの最終巻が続いているので、少し淋しい気持ちになります。
伍代圭佑さんの『勘定の鬼』
「これからの勘定方を、そなたが作っていくのじゃ」
十九歳で勘定役に抜擢された荻原彦次郎(後の重秀)。
苦手な算盤は、算術の才に長けた用人・半助に任せきりでしたが、自身は抜群の頭脳を武器に改革に邁進していました。
そんな彼に、太閤秀吉以来八十年ぶりとなる検地の指揮という難題が降りかかります。
年貢に大きく関わるため、各地の代官からの抵抗は必至――。
彦次郎がとった前代未聞の秘策とは、いったい何だったのでしょうか。
元禄期に貨幣改鋳を行ったことで、新井白石らにより悪評が定着した、幕府きっての経済官僚・荻原重秀。この人物を主人公として描く作品が読めることが、とてもうれしいです。
!おすすめ度
★:読みたい/入手したい
■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
◎:文庫書き下ろし











































