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横浜幻燈館 俥屋おりん事件帳

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横浜幻燈館 俥屋おりん事件帳
横浜幻燈館 俥屋おりん事件帳
(よこはまげんとうかん・くるまやおりんじけんちょう)
山崎洋子
(やまざきようこ)
[捕物]
★★★★

明治の横浜を舞台にした捕物帳。主人公は美人女学生(フェリス英和女学校)で、放課後は俥屋のおりん(田宮りん)。設定を見ていて、大和和紀さんのコミック『ハイカラさんが通る』を思い浮かべてうれしくなって読み始めた。

ヒロインのおりんが、颯爽としながらも可憐さがあっていい感じだ。しかもフェリスと俥屋のミスマッチがおもしろい。少女マンガ風の王子様役として、ハーフの北岡留伊(るい)が登場するのもお約束か。

作品に描かれている時代は、明治三十二年~三年。外国人居留地の治外法権が撤廃された直後である。居留地警察は、山手警察と名称も改まり、自治権は日本の手に戻っている。このことにより、事件の解決がすっきりといくようになった。また、当時、横浜にいた著名人も作品に登場し、興趣を添える。

物語●「らしゃめん」俥屋のおりんは、伊勢佐木町の芝居小屋近くで、明かに“らしゃめん”(西洋人相手に、身を売る女)に見える若い女を乗せた…。「薔薇の悲鳴」ゲーテー座の『ロメオとジュリエット』の上演中に、ジュリエット役で、フェリス英和女学校の音楽教師・ミス・リードが拳銃で撃たれた…。「狂女」俥屋『宮源』の車夫頭の善吉が、電気鉄道を推進する市会議員宅を爆破し、一家を殺害した犯人として逮捕された…。「神の邪心」オリエンタルホテルでチーフコックを務める北岡留伊の店が、放火による火事で焼けたという…。

目次■らしゃめん|薔薇の悲鳴|狂女|神の邪心|解説 平岡正明

装画:渡邉良重
解説:平岡正明
時代:明治三十二年四月
場所:横浜・伊勢佐木町、関内、海岸通り、ブラッドタウン、六道の辻ほか。
(集英社文庫・648円・00/04/25第1刷・341P)
購入日:00/04/29
読破日:00/05/02

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