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恋の濡れ刃

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恋の濡れ刃恋の濡れ刃
(こいのぬれば)
梅本育子
(うめもといくこ)
[料理]
★★★☆

「包丁い、一本、さらしに巻いて~」という昔の歌があったが、その意味がようやくわかった。一流の料理人になるには、単に包丁の技術だけではなく、人情味についても修業しなくてはいけないということだ。そこには、色の道も含まれているらしい。そんなわけでタイトルの「濡れ刃」は「濡れ場」とかけている。

主人公が旅をして、宿場(または店)ごとに事件に巻き込まれるというスタイルは、「木枯し紋次郎」のようでいい。登場人物たちの人間模様も紋次郎的だ。もっとも、主人公のスタイルは全然違うが…。

主人公が、日本料理ばかりでなく、鰻の蒲焼や信州そばなどの店で修業するのも面白い。

料理の世界を舞台とした時代小説では、澤田ふじ子さんの「もどり橋」(中公文庫)が思い出される。

物語●「おめえの料理には人情味が足りねえ、人が箸を持っていきたくなる丸みがねえ。旅をして色の道でも修業してきな」
江戸・深川の伊豆政の板前弥吉は、親方にそういわれて料理と色の道のふた筋修業の旅にでることになる…。

目次■第一話 恋の囮/第二話 恋の迷路/第三話 恋の道草/第四話 相性ぼくろ/第五話 菜種のお堂/第六話 おぼろ駕籠/第七話 新枕/第八話 恋あやめ/第九話 船に寝る夜は/第十話 恋の濡れ刃

装幀:三井永一
時代:幕末
舞台:四日市。大坂天神橋、宗右衛門町、茂左衛門町、寒山寺。伊勢古市、熱田。深川黒江町。
(光風社出版・1260円・1996/11/20第1刷・277P)
購入日:97/04/25
読破日:98/04/06

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