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孤影の太刀―織江緋之介見参

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孤影の太刀―織江緋之介見参孤影の太刀―織江緋之介見参
(こえいのたち おりえひのすけけんざん)
上田秀人
(うえだひでと)
[伝奇]
おすすめ度:★★★★

『悲恋の太刀』『不忘の太刀』に続く「織江緋之介見参」シリーズ第三弾。主人公は、織江緋之助こと、小野派一刀流の小野次郎右衛門忠常の息子友悟。小野派一刀流は、剣聖として名高い伊藤一刀斎の直弟子、神子上典膳(みこがみてんぜん)が開祖。

家康が吉原に隠した秀吉の秘宝を失ってからというもの、松平伊豆守信綱は、吉原を守り邪魔立てした緋之介に恨み骨髄。余命がわずかと知り、今また緋之介を陥れんと、南町奉行の神尾備前守に命を下す。その後、小普請の御家人・緋之介に突然の役付きの知らせがあり、盟友の徳川光圀に相談するも……。

今回は、緋之介と信綱の対決のほかに、保科肥後守正之の娘・媛姫(はるひめ)の死の謎、鷹匠頭(たかじょうがしら)と鳥見役の対立が描かれている。

鷹匠頭と鳥見役の対立というと、奇異な感じがする。ともに将軍家お鷹狩り関係者であり、鳥見役は鷹匠頭の支配下にあるからである。だが、両者の身分の違いは大きい。鷹匠頭は千石以上の旗本の世襲(間宮家と戸田家)であるのに対して、鳥見役は町方同心と同じく一代抱え席でお目見え以下。組頭になると、在職限りお目見え格にあがる。組頭は二百俵高、五人扶持、伝馬金五両、平役は八十俵高、五人扶持、伝馬金十八両を給された。

鳥見役の生活を描いた時代小説といえば、諸田玲子さんの『お鳥見女房』が思い出される。

また、松平伊豆守のほかに、今回は同僚でライバルの老中・阿部豊後守忠秋や徳川光圀の妹・沙弓が登場し、重要な役回りを演じる。

目次■第一章 江都の風/第二章 剣先の滴/第三章 糧の軽重/第四章 鳴動する権/第五章 墨守崩壊

カバーデザイン:ムシカゴグラフィックス、スズキ・クモ
描かれている時代:万治四年(1661)
(徳間文庫・629円・2006年6月15日第1刷・381P)
購入日:2006/06/20
読破日:2006/07/10

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『孤影の太刀―織江緋之介見参』(上田秀人・徳間文庫)