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胡蝶の剣

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[amazon_image id=”404171320X” link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]胡蝶の剣 (角川文庫)[/amazon_image]
胡蝶の剣

(こちょうのけん)

津本陽

(つもとよう)
[幕末]
★★★☆☆

物語前半部分の薩摩における厳しい子弟教育を読んでいたら、のんべんだらりと、武士の魂を忘れ去った、旗本・御家人たちが敵うわけがないのがわかった。それは、佐賀藩の葉隠武士に匹敵する、武士道教育である。

島津斉彬が藩主の頃を舞台に、江戸生まれの薩摩藩士の息子、三原林太郎の剣一筋に、激動の時代を生きる姿を描いた青春小説といったところか。

坂本竜馬やお遊羅派(斉彬の父島津斉興の愛妾・お遊羅の子久光を次期藩主に推す守旧派)、兵道家・牧仲太郎が登場し、歴史ものというよりは伝奇色が強い物語になっている。

剣での立ち合いシーンを読んでいたら、サッカーのPK戦を連想した。PK(ペナルティキック)も、キッカーにしろ、ゴールキーパーにしろ、先に動いた方が負けであるところなどよく似ている。

物語●御供目付三原十郎の息子林太郎は十四歳で、下加治屋町郷中稚児組(しもかじやごじゅうちごぐみ)に加わり、西洋銃隊の調練を受けていた。郷中稚児組は、薩摩藩士の子弟教育の組織のこと。林太郎は江戸の芝三田にある藩邸で生まれ育ち、藩主島津斉彬に従い、母と弟妹と離れて1年半、国元で過ごすことになっていた。林太郎は六歳の春から江戸神田お玉ヶ池の千葉道場へ通い、少年の頃から人並み優れた才能をあらわし、北辰一刀流の目録免許を受けていた。しかし、その林太郎を鹿児島で待ちうけていたものは、大人でも辟易するような猛烈で狂勇な子弟教育としての武芸鍛錬だった…。

目次■なし

カバーイラスト:鴇田幹
解説:清原康正
時代:嘉永四年(1851)八月
場所:鹿児島鶴丸城、下加治屋町、錦江湾、江戸芝田町一丁目、神田お玉ヶ池、戸塚宿、豊橋、鈴鹿、京都今出川ほか
(角川文庫・495円・00/08/25第1刷・253P)
購入日:00/08/26
読破日:00/09/22

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