開化怪盗団

開化怪盗団
開化怪盗団
(かいかかいとうだん)
多岐川恭
(たきがわきょう)
[明治]
★★★★

手元に新刊の積読ものがなくなったので、1年ほど前に購入して未読のものにチャレンジ。明治を舞台にしたピカレスクロマン。多岐川さんの本は品切れになりそうなので迷わずゲット!

『開化回り舞台』改題

西南戦争後の明治初期、薩長の藩閥政治の横暴や現体制の無為無策などから、自由民権運動が高まりを見せている時代。登場人物の一人、安岡保もそんな自由民権運動にあこがれや共感を持っていて、西郷に傾倒して過激な行動を起こそうとする若者・野村辰平を助けたりする。一方、宝石商の高牟礼は、初対面の安岡をして、「西郷軍の残党ですか。それとも政府の密偵。ひょっとすると義賊……」と言わしめる一筋縄でいかない雰囲気をもった男である。

ピカレスク時代小説の第一人者らしく、作者の描くちょっと悪に染まった主人公たちがそれぞれ魅力的だ。化け七こと泥棒の七兵衛、スリ名人の伝吉、イギリス人の小悪党ネルソンとフランク、そして英語が堪能で、出生に秘密がありそうな高牟礼。悪事を働きながらも、そのユートピア建設に向けて夢を語る。何ともその活躍振りが小気味いい。明治という時代のロマンを感じさせる作品である。

物語●富豪樫村広助の令嬢那美は、宝石商の高牟礼三太郎に馬車で家へ送ってもらう途中、四人の暴漢に襲われた。折りよく自由民権論者の若者・安岡保が通りかかり、暴漢らを追っ払った。安岡は豊前小倉の出身で私塾で学ぶ苦学生だった。那美は、一橋の女学校を出てから、ただぶらぶらしていた。この日は、父に連れられて、築地の原口万兵衛という実業家の邸宅で行われた晩餐会に出席し、万兵衛の娘で同窓の仲良し・琴子とおしゃべりに夢中になっているうちに、父は先に帰ってしまい、宝石の売り込みに来ていた高牟礼に送ってもらうことにしたのだった…。

目次■第一章 富豪令嬢の危機/第二章 貧乏書生/第三章 危ない男の逃走/第四章 賊たちの謀議/第五章 旧幕臣の歓待/第六章 密偵の追跡/第七章 異人の策略/第八章 巡査の勇み足/第九章 若者の失望/第十章 野人実業家の憤懣/第十一章 末弟の急襲/第十二章 悪党の夢/第十三章 決起青年の不覚/第十四章 宝石商の魂胆/第十五章 警察官の密談/第十六章 盗賊の真意/第十七章 快男児の憤激/第十八章 女たちの覚悟/第十九章 自由人の無想/解説 縄田一男

カバー装画:蓬田やすひろ
解説:縄田一男
時代:明治十二年。
場所:竹川町、銀座、神田小川町、長谷川町、雑司ヶ谷鬼子母神、万世橋、神田猿楽町、横浜、洲干弁天、海岸通り、弁天町、日本橋横山町、神田須田町、雉町、築地二丁目ほか
(光文社文庫・571円・01/11/20第1刷・353P)
購入日:04/02/18
読破日:05/03/18

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