五稜郭の兄弟

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五稜郭の兄弟

(ごりょうかくのきょうだい)

高橋義夫

(たかはしよしお)
[幕末]
★★★☆☆

農民の子から、御家人の養子となって、「英国歩兵操典」を翻訳し、兵学を学び幕府の兵制を支えた古屋佐久左衛門と、緒方洪庵やヘボンに師事し、一橋家の表医師・高松凌雲の兄弟が主人公。高松凌雲の名は知っていたが、古屋佐久左衛門にはほとんど記憶がなかった。幕末小説はいくつか読んだが、まだまだスポットをあてていい人物はいるものだなあ。

長岡藩が舞台となる、戊辰戦争が紙幅を割いて描かれていて興味深かった。

滅び行くものへのセンチメンタリズムからか、心情的には佐幕派であるが、慶喜、海舟、榎本武揚の三人にはなかなか共感できないのはなぜかなあ。古屋佐久左衛門と高松凌雲の兄弟は農民出身だが、同じように根っからの武士でない新選組の近藤勇や土方歳三らが、より武士らしく生きて死のうとする姿と対照的である。出処進退というよりも散り際の潔さが、時代を経過しても、感動を与えるのかもしれない。

物語●久留米藩領内古飯村の庄屋の高松与吉の三男で十六歳の権平は、次兄・勝次が医者になるために村を出奔して長崎に向かうところを見送った。権平は、別れる悲しみよりも、羨望の気持ちが強いことに気づいた。
やがて、兄・勝次は、医者の夢やぶれて、江戸で御家人の養子となり、古屋佐久左衛門と名前を変える。弟の権平も、兄と同じように、医者になるべく出奔し、大坂に出たが、医師・春日寛平のもとには入門できず、佐久左衛門のいる江戸で、高松凌雲と名乗り、医学修業をすることに…。

目次■第一章 籾櫃/第二章 奥詰医師/第三章 三兵伝習/第四章 万国博覧会/第五章 衝鋒隊/第六章 敗走/第七章 五稜郭/後記

カバーイラストレーション:野中昇
カバーデザイン:桜井勝志
時代:嘉永四年(1851)
場所:久留米藩領内古飯村、大坂・今橋筋尼ヶ崎、過書町、江戸・愛宕下、浅草元鳥越、木挽町一丁目、横浜・吉田町、入舟町、野毛坂ほか
(廣済堂文庫・629円・03/11/01第1刷・268P)
購入日:03/11/15
読破日:03/12/11

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