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やみとり屋

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やみとり屋

(やみとりや)

多田容子

(ただようこ)
[伝奇]
★★★☆☆

生類憐れみ令下で、やみとり屋(やきとり屋)を営む男たちとそこに集う無頼の徒たちの活躍を描く、時代小説。

やみとり屋に巣食う男たちが個性的だ。とくに、童顔で小柄ながら喧嘩っ早くて女にもてる吉本万七郎と言部流舌法の達人・潮春之介という上方出身のコンビが面白い。TVで活躍中のあの漫才コンビ(最近は漫才をしないが)を想起させられる。

時代小説の体を取りながら、どんどん乖離してゆく、不思議な青春伝奇小説。固有名詞が記号化していて、実体がないバーチャルな世界が広がっている。まるで、主役の春之介の言部流の舌法にかかっているような感じだ。

物語●向島の外れ、奉行所の目が届くか届かないかの境の森に囲まれた地に、その隠れ宿があった。――刀を抜かずに息抜こう 心の闇が取れる店――板看板には能筆の文字が書いてあった。「やみとり屋」は、浪人者や無頼の徒が好んで通う憩いの場であり、まだ江戸にはない学問の話まで聞けるという飲み屋だが、誰でも足を向けられるような、気安い店ではない。客達は、己の首を賭けて美食を食すのである。そのための登竜門が夜の浄寒寺で行われる儀式だった…。

目次■第一章 隠れ宿/第二章 言部流/第三章 傾き/第四章 世直し/第五章 語らい/第六章 人相描き/第七章 変/第八章 便り

装画:葛飾北斎「群鶏」(東京国立博物館・蔵)
装幀:芹澤泰偉
時代:元禄年間
場所:向島の外れ、とり島、吉原ほか
(講談社・1,700円・01/01/25第1刷・285P)
購入日:01/02/03
読破日:01/04/02

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