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爆弾可楽

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爆弾可楽

爆弾可楽

(ばくだんからく)

杉本章子

(すぎもとあきこ)
[芸道]
★★★★☆

落語家が登場する作品というと、村松友視さんの『灰左様なら』の林屋正蔵や『警視庁草紙』(山田風太郎著)の三遊亭円朝を思い出すが、十八番の咄も織り込みながらというと、本作品がいちばんである。作者の特徴は、綿密な資料調査のもとに一節一句が書き込まれていくことにあるが、この作品でもその良さがいかんなく発揮されていて門外漢も引き込まれてしまう。「野ざらし」の下げ(オチ)の意味もようやくわかった。

「爆弾可楽」の、実在の噺家の真打が爆弾犯だったという話にはびっくりした。読みはじめるまでは、タイトルの意味がわからなかったのだが、そのものズバリとは。可楽と弟子たち、師匠武生との関係がいささか感動的だった。

「ふらふら遊三」の主人公が、落語の登場人物そのままのような性格というのがペーソスあふれていて可笑しい。意外な有名人が登場するのも見逃せない。

物語●「爆弾可楽」三笑亭可楽は、久しぶりに東京に戻ってきて、自分の人相書が張り出されているのを見た…。「ふらふら遊三」徳川御家人の小島長重は同僚の松井平十郎とともに、彰義隊に入り、上野の山にいた…。

目次■爆弾可楽|ふらふら遊三|解説 吉田伸之

カバー:蓬田やすひろ
解説:吉田伸之(東京大学文学部助教授)
時代:「爆弾可楽」明治二年。「ふらふら遊三」慶応四年。
場所:「爆弾可楽」下平右衛門町。「ふらふら遊三」上野。檜物町。函館
(文春文庫・408円・1993/09/10第1刷・263P)
購入日:97/02/05
読破日:98/06/20

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