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千両帯 新三郎武狂帖

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千両帯 新三郎武狂帖

千両帯 新三郎武狂帖

(せんりょうおび・しんざぶろうぶきょうちょう)

曽田博久

(そだひろひさ)
[青春]
★★★★☆☆

TVの「暴れん坊将軍」やゲームの「鬼武者」のシナリオを手がけた作者の時代小説デビュー作。

新三郎の常軌を逸した武芸ぐらいぶりが何よりも面白い。幼なじみの小町娘から付け文をもらっても、若者らしく激しく動揺しながらも修行の妨げになると、無視しようとしたり、生活感が欠如し、善悪の基準が少しずれていたり、読んでいて知らずにハラハラしてしまう。江戸の中期の奇人・平山行蔵の晩年の弟子という設定でうなずける。行蔵の弟子つながりで、勝小吉(勝海舟の父)が登場するところも見逃せない。三味線の師匠・冨美豊や下男与平、担ぎの小間物売りの佐吉らが、新三郎を支える。

タイトルと表紙の装画のイメージから全然違うストーリー展開を予想したが、見事に裏切られた。前半は武芸に打ち込む青春小説。後半は一転、米相場の不正にまつわる事件を描き、政治経済小説の要素も帯びてきて、興味がますますわいてくる。本作品が時代小説デビュー作ということだが、最初から水準が高く、今後も期待できる。

物語●柘植新三郎(つげしんざぶろう)は、毎朝七つ(午前四時)になると、剣術の稽古を始める、武芸狂いの二十歳の若者だった。十歳の年に、平山行蔵に弟子入りし、講武実用流の剣術をはじめ、居合術、柔術、手裏剣術、弓術、馬術、槍術、水泳術、十手術、薙刀術、砲術、捕り手術、棒術、鎖鎌術、杖術、短刀術、含針術の合わせて十八の武芸の目録を得た、常軌を逸した武芸狂いで、「十八新三(とっぱちしんざ)」と呼ばれていた。その新三郎がある朝、隣家の伊賀者明屋敷番同心の娘で幼なじみの雪乃から付け文をもらった…。

目次■第一章 七つ時計/第二章 深川七場所/第三章 十七家筆頭/第四章 千両帯/第五章 旗振り権現山

装画:宇野亜喜良
装幀:芹澤泰偉

時代:天保四年夏
場所:四谷鮫ヶ橋谷町、小石川白壁町、西念寺、長谷川町三光新道、深川佃町、鳥越明神裏、菊坂台町、山下御門、一ツ橋御門、木原店、神楽坂肴町ほか
(ハルキ文庫・680円・05/01/18第1刷・278P)
購入日:05/02/04
読破日:05/02/08

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