木枯し紋次郎(六) 上州新田郡三日月村
(こがらしもんじろう6・じょうしゅうにったごおりみかづきむら)
笹沢左保
(ささざわさほ)
[股旅]
★★★★
♪寒くなりはじめると、「木枯し紋次郎」が読みたくなる。紋次郎がくわえた爪楊枝でかなでる木枯しの音が連想させるのだろう。
1年ぶりぐらいで読む。相変わらず、各話のそれぞれに見せる、巧みな導入と場面設定、意外な結末へという職人技にほれぼれとする。
紋次郎が故郷にやってくる「上州新田郡三日月村」と、一幕の舞台劇を思わせる密室での緊迫感が何ともいえずいい「冥土の花嫁を討て」が秀逸。
物語●「錦絵は十五夜に泣いた」紋次郎は渋街道で、善光寺の飯盛旅籠の女将と道連れとなり、さらに渋川から逃げてきた女中が一緒になった…。「怨念坂を蛍が越えた」若い無宿人が居座っていた居酒屋で、怨念坂の化け物が話題になっていた…。「上州新田郡三日月村」紋次郎は生まれ故郷の近くで落雷にあった…。「冥土の花嫁を討て」紋次郎は、木曽路の琵琶峠で敵討ちの仇と間違えられて斬りかかられた…。「笛が流れた雁坂峠」信州佐久から余地峠へ抜けようとした紋次郎は、地元の渡世人から厳しい関所改めがあると聞いた…。
目次■錦絵は十五夜に泣いた|怨念坂を蛍が越えた|上州新田郡三日月村|冥土の花嫁を討て|笛が流れた雁坂峠|解説 宗肖之介