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邪恋寺 非道人別帳 [三]

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邪恋寺 非道人別帳 [三]
邪恋寺 非道人別帳 [三]
(じゃれんでら・ひどうにんべつちょう3)
森村誠一
(もりむらせいいち)
[捕物]
★★★☆☆☆

はみだし同心・祖式弦一郎と、半兵衛、茂平次が、江戸の悪に立ち向かうシリーズ第3弾。社会派の森村さんらしい、切れ味の鋭さが鬱屈した気分を晴らしてくれる。

いじめや愛欲のもつれ、動物虐待、汚職など、事件の元凶が現代にも通じるところが、社会派推理小説家でもある、森村さんらしいところか。理詰めで、わかりやすい語り口で、陰惨な事件の割に読後がすっきりとする。

主人公の魅力もさることながら、脇役たちがキャラクターがはっきりしていて楽しめる。とくに火附盗賊改の胡麻所金十郎(凄い名前だ)やその配下の百足の長六、古参同心・古町権左衛門など、その役割を心得ていていい。

物語●「水の楯」無頼の者たちにからまれていた若い娘を助け、無頼漢を斬った若侍は、桐の間御番衆であったが、町のごろつきと喧嘩し数人を傷害したということで、不心得として御役御免になってしまった。それから三年後…。「猿刑」湯島天神の坂下で、足駄職人の美人女房が、首筋に半弓の矢を射られて殺された…。「邪恋寺」家具問屋の、常陸から出てきたばかりの丁稚が得意先へ使いに出たまま戻らない事件が起こった。五日後、その丁稚が日本橋南詰の高札場に晒されているところを発見された…。「臥煙忠臣蔵」お目付の屋敷で、屋敷の主が中間を無礼の廉で手討ちにした。それから十日後、中間の無頼の仲間が、目付の役宅に押し入って、主人ほか三名を殺傷する事件が起こった…。「魔矢」江戸の町に、路上の犬や猫に吹矢を射かける者が出没した…。「怨み染料」浅草大護院境内で相撲興行が行われたなかで、力士と町火消の喧嘩が起こった…。

目次■水の楯|猿刑|邪恋寺|臥煙忠臣蔵|魔矢|怨み染料

イラスト:鴇田幹
AD:石崎健太郎
時代:明記されず
場所:日本橋南詰、両国橋、湯島天神坂下、駒形の渡、四谷御門外西御箪笥町、本石町四丁目、猿楽町、小塚原、上野新黒門町ほか
(文春文庫・448円・01/02/10第1刷・280P)
購入日:01/02/11
読破日:01/02/15

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