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斑鳩宮始末記

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斑鳩宮始末記
斑鳩宮始末記
(いかるがのみやしまつき)
黒岩重吾
(くろいわじゅうご)
[飛鳥]
★★★☆☆☆

現状ではとても古代ものまでは手が回らないので、黒岩作品は敬遠していたが…。「奈良の都の捕物帳!」というキャッチフレーズに抑えがきかなくなってしまった。

聖徳太子が活躍した推古朝が舞台ということで、出てくる言葉や風俗などとても新鮮。通い婚や多妻制、奴婢などの風習が事件の背景にあり、興味深かった。ただ、登場人物たちの名前が子麻呂やその部下の魚足(うおたり)は、ともかくとして、上司の秦造河勝(はたのみやつこかわかつ)や、子麻呂の妻の縫郎女(ぬいのいらつめ)、難波吉士高雄(なにわのきしたかお)、阿刀連太(あとのむらじふと)、膳部菩岐岐美郎女(かしわでのほききみのいらつめ)など、舌を噛みそうなものが多く、読書のスピードが上がらなくて苦労した。

教科書でしか知らなかった、冠位十二階制にまつわるエピソードがあり、勉強になった。

物語●「子麻呂道」調首子麻呂(つぎのおびとねまろ)は、百済からの渡来系氏族で、廐戸(うまやど)皇太子(聖徳太子)に舎人(とねり)として仕えていた。憲法十七条や冠位十二階制で公平な官司制度を作ろうとする皇太子の命を受け、さまざまな事件の捜査にあたることになった…。「川岸の遺体」鋭い刃物で首を斬られた男子の遺体が川岸で発見された…。「子麻呂の恋」子麻呂は、村長の家を逃亡した奴婢アヤメと関係をもってしまった…。「『信』の疑惑」酒盛りをしていた子麻呂と魚足は、斑鳩宮で記録係をしている男子の死体を発見した…。「天罰」廐戸皇太子が所有する船を管理し、外交面でも活躍する有力者の妻が血まみれになって殺された…。「憲法の涙」子麻呂の妻の縫(ぬい)が食欲を失い痩せ始め、ついには倒れてしまった…。「暗殺者」四十の醜男の魚足が二番目の妻を迎えることになった。新妻は二十歳で、豪農の娘だという…。

目次■序/子麻呂道/川岸の遺体/子麻呂の恋/『信』の疑惑/天罰/憲法の涙/暗殺者

装画:篠原貴之
装幀:関口聖司
時代:推古八年(600)
場所:大和川北岸、斑鳩宮、富雄川川岸、平群、竜田川、河内ほか。(文藝春秋・1,524円・00/01/10第1刷・290P)
購入日:00/01/11
読破日:00/03/29

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