奈落 上州無宿半次郎逃亡記

奈落 上州無宿半次郎逃亡記
奈落 上州無宿半次郎逃亡記
(ならく・じょうしゅうむしゅくはんじろうとうぼうき)
小杉健治
(こすぎけんじ)
[市井]
★★★★☆☆

聞き覚えのある筋立てと思ったら、『冤罪』(2000年3月、講談社刊)を改題したものだった。

江戸時代を舞台に冤罪事件に巻き込まれた男を主人公にした、サスペンスあふれる時代小説。無実の罪を着せられた者の心情、岡っ引に追われる恐怖、事件の謎解きと真相、社会派のミステリーの名手として活躍する、小杉さんらしい緊迫感あふれる時代小説である。

その一方、冤罪という極めて重いテーマを扱いながらも、主人公の半次郎とお里をはじめ、登場人物たちの「自己犠牲」と「無償の愛」が丹念に描かれていて、市井小説として読んでも、ちょっとせつなく、それでいて心洗われる作品となっている。

江戸時代の刑罰のひとつについて、臨場感あふれる描写があり、興味深かった。

物語●江戸・下谷車坂町の裏長屋に住み、炭や箒などを行商する半次郎は、榛名山の麓の故郷から江戸に戻ると、いわれのない押し込みと殺しの嫌疑をかけられ、岡っ引の伝六に追われた。濡れ衣を晴らすのは、事件当夜に同衾した、宿場女郎のお里だけだった。事件直後にお里は、幸兵衛という男に身請けされて、姿を消していた。追っ手を逃れ、お里を捜し、真の下手人を挙げなければ、半次郎に明日はない…。

目次■第一章 雪の夜/第二章 遠霞/第三章 忍び音/第四章 移り香/解説 細谷正充

カバー装画:百鬼丸
カバーデザイン:柳川昭治
解説:細谷正充
時代:明記されず。天明の大飢饉が主人公の生まれる前ということから、文化年間か
場所:上州・倉賀野、江戸・下谷車坂町、浅草聖天町、秩父大宮、栃木・巴波川ほとり、深川南六間堀町、神田佐久間町、向島寺島村、浅草田原町ほか
(講談社文庫・667円・03/09/15第1刷・380P)
購入日:03/09/15
読破日:03/11/30

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