再会 慶次郎縁側日記
(さいかい・けいじろうえんがわにっき)
北原亞以子
(きたはらあいこ)
[市井]
★★★★☆
♪『傷』に続く慶次郎縁側日記シリーズ第二弾。舞台を思わせる豊潤な北原ワールドが堪能でき、期待に違わず泣かせる話が多い。「お見舞い」や「再会」3部作など、良質な一幕ものを見る思いがする。
解説ページで、寺田農さんが書いているように、映像化させたい作品である。最愛の娘を亡くした、初老のイメージと、「仏の慶次郎」と呼ばれた定町廻り同心のイメージを演じられる役者さんがいるかどうか思いつかないが…。
「慶次郎」シリーズは、第1弾「傷」、第2弾「再会」、第3弾「おひで」、第4弾「峠」、第5弾「蜩」と刊行されている。
物語●「恩返し」慶次郎は藤寺と呼ばれる円光寺で、十徳姿の男と出会った…。「八百屋お七」根岸に帰る慶次郎は、市中見廻りの養子・晃之助と偶然出会い、方向が一緒でしばらく一緒に歩いていると、麻の葉の模様の着物を着た娘をよく見かけることに気付いた。芝居の八百屋お七が着ていたものだという…。「花の露」慶次郎のもとを和田屋彦七がたずねてきた。店仕舞いすることをきめたという…。「最良の日」慶次郎は、佐七から谷中感応寺の富突の当り籤を見てきてもらうように頼まれた…。「日々是転寝」山口屋の寮をお直が訪ねてきた。慶次郎が寮番を辞めてくれれば、後釜にお直の亭主が坐れるという…。「やがてくる日」三十五歳で一人暮しのおはまは、易者に呼びとめられた…。「お見舞い」料理屋花ごろもを営むお登世は、森口晃之助が世話してくれた娘おすみの最近の行動に不審の念をもった…。「晩秋」岡っ引の吉次は、下っ引きの一人からその男の所在を聞いた…。「あかり」「あかり」森口晃之助と慶次郎は暗がりで泣いている娘おさきを見かけた…。「再会 一 秘密」岡っ引の辰吉がおもんと出会ったのは、茗荷を買っているときだった…。「再会 二 卯の花の雨」慶次郎は、腹の虫おさえに蕎麦屋へ入って、おしんに出会った…。「再会 三 恋する人達」吉次はむきみ小屋へ遊女の取締りに来ていた。そこで彼が見たものは…。
目次■恩返し|八百屋お七|花の露|最良の日|日々是転寝|やがてくる日|お見舞い|晩秋|あかり|再会 一 秘密|再会 二 卯の花の雨|再会 三 恋する人達|「慶次郎縁側日記」、なんとか映像化したいなァ 寺田農