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笑う花魁 結わえ師・紋重郎始末記

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笑う花魁 結わえ師・紋重郎始末記笑う花魁 結わえ師・紋重郎始末記

(わらうおいらん・ゆわえし・もんじゅうろうしまつき)

石月正広

(いしづきまさひろ)
[市井]
★★★☆☆

国定忠次の子分・板割浅太郎の生涯を描いた『渡世人』が面白かった石月さんの書き下ろし時代小説。主人公の漢部紋重郎(あやべもんじゅうろう)は江戸で唯一の結わえ師。吉原や深川、柳橋といった花街で、女郎や芸者たちに帯や紐の結び方を教えたり、妓楼の紋日などに酒樽の飾り結びや、床飾りなどをしていた。

また、ときには座敷に呼ばれ、客たちに手品のようなことをやって見せた。あるときは亀売りを目にも留まらぬ早業で桜の木に吊るしたり、またあるときは石ころを高く放ってそれを空中で糸で結んだりと、まさに神業ぶりだ。

紋重郎が得意なのは、紐や糸を結んだり解いたりするだけでなく、人の心の中をのぞき魂と魂とを結ぶ糸を解いたり、繋ぎ直したりすること。そもそも結ぶとは、繋ぎ合わせる、終わる、締めくくることであり、契る、約束をすることを意味する。結びには人を守る神が宿っており、正月の門松をはじめ、武具、仏具、水引と、あらゆる結びに願いをこめる。作者によると、古代には魂結(たまむすび)という呪術があり、結びには神秘的な意味がこめられているという。

人と人との絡み合った糸を解き、問題を解決する紋重郎の今後の活躍ぶりに期待。

ブログ◆
2006-04-29 江戸でただ一人の結わえ師、登場
2006-04-26 競馬と時代小説作家

物語●結わえ師の紋重郎は、札差魚交の依頼で、余興として吉原の花魁霧島を拷問縛りをすることになる。太さの径が六分六厘(約二センチ)、長さが二間と一尺(約三百九十四センチ)の丸紐で模様は笹波組の変形という特注の組紐を用意して場に臨む。その座敷には、風来山人こと、平賀源内も同席することになった……。

目次■なし

カバー装画:安里英晴
カバーデザイン:通
解説:縄田一男
時代:安永三年(1774)夏
場所:姿見橋、神田紺屋町、藍染橋、橋場町、吉原揚屋町、小日向松枝町ほか
(講談社文庫・495円・06/04/15第1刷・209P)
購入日:06/04/23
読破日:06/04/29

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